"allocate" | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は"allocate"を取り上げたいと思います。

 

"allocate"は英和辞典を見ると大学や一般レベルのものになりそうです。つまり中学生や高校生が日常会話で使う感じの単語ではないですね。

 

そんな"allocate"ですが、この単語を知っている方はある訳語を覚えていると思います。今回はこの訳語について少し考えてみたいです。

 

ではいつも通り『ロングマンExams英英辞典』"allocate"の意味を見てみましょう。

 

to use something for a particular purpose, give something to a particular person etc, especially after an official decision has been made

 

ex) You should allocate the same amout of time to each question.

     Japan allocates just 1 percent of its budget for defense.

 

意味の方はある特定の目的のために何かを使ったり、何かをある特定の人に与えたりするとあります。そして特に公式な決定がされた後にと続いています。

 

このロングマンの説明だけ見て自分で訳語をつけるならどうなるでしょうか?もし一般的に英和辞典に載っている"allocate"の訳語を知らない場合は、単純に「何かを使う」感じの訳語になると思います。これは例文で考えてみても「何かを使う」でも意味的には通じるでしょう。

 

具体的に例文を見てみると、1つ目は同じ時間配分をするべきだということで、時間を使うという感じになりますね。そして2つ目を見ると「日本は予算のちょうど1%を防衛に使っている」と訳せます。

 

ではあえて示していなかった英和辞典での"allocate"の訳語をここであげると「割り当てる」がありますね。最初に"allocate"=「割り当てる」で覚えてしまっているとそういうものだと思ってしまいますが、上で見た英英辞典の説明から考えると割りとよくできた訳語だと言えそうですね。ある目的にために何かを使ったり与えたりすることで「割り当てる」となっています。これを使うとロングマンの2つ目の例文は「~1%を割り当てている」とも訳せます。

 

「割り当てる」はなかなかよくできた訳語ということで話が終わればなるほどでスッキリするかもしれませんが、あえて違う考え方を示しておくと、「割り当てる」はあくまで日本語で言うならどう言うかという訳語であって、"allocate"の本来の意味はロングマンで見たような英英辞典で示されているものと理解した方が良いかと思います。

 

試しにいくつかの和英辞典で「割り当てる」を調べてみると、いくつかの英語が示されていて、"allocate"はその中の一つに過ぎません。また"allocate"は一番最初に示されていないことが多いです。このことからも"allocate"=「割り当てる」というつながりが完全なものとは考えないほうがいいでしょう。

 

このあたりが英英辞典と英和辞典の差やズレであり、英語を日本語訳ではなく英語で理解するということにつながります。日本の学校では日本語訳を通して英語を学んで来ているので仕方ない部分はありますが、なるべく英語をダイレクトに理解できるようにするのが英語をより理解するポイントであることを改めて示しておきます。