三単現の世界? | 英語の世界観

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私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は「三単現」を取り上げます。

「三単現」という文法用語を聞いて嫌になる人もいるかもしれませんが、受験勉強ではないので気軽に読んでもらえればと...。

英語を習い始めの生徒に"He likes"で使われている"likes"の"-s"は何?と聞くと答えられないで黙ってしまうことがあります。

そんなときはわざと「複数形?」と聞くと、うなずく人が少なくありません。

もちろん複数形ではありません。動詞には複数形はないからです。

答えは「三単現」の"-s"と教えると、ポカーンとした顔になります。

そして「三単現」とは三人称、単数、現在の文の時基本的に動詞に"-s"がつくと教えます。さらに三人称とは"I"(私)と"you"(あなた)以外の人を指して...と説明が続きます。

ではなんでポカーンとしてしまうのでしょうか。

恐らく理由は日本語にはそのようなものがないからです。

英語の使い方をわかりやすくするために1,2,3人称の単数、複数で、"like"の形をまとめてみます。

I like    We like

You like   You like

He likes   They like


左側は単数で、右側が複数です。そしてそれぞれ上から1,2,3人称の順番になっています。

このように見てみると、"He"の三人称単数だけ"likes"となっています。

でも日本語では私でも彼でも全て「好き」となり、三人称単数だから変化するなどはありません。この日本語の感覚で見てしまうと、英語の「三単現」は難しく思うのかもしれません。

そもそも日本語で生活していて、普段人称の違いについて意識することはなく、またそれが単数複数かをこまめにチェックしないでしょう。

でも英語は違います。

"I"と"you"とそれ以外の人を分けています。そしてそれが単数か複数かを分けています。それが「三単現」に表れています。

無意識であろうと「三単現」を使っている英語話者は、その分けた世界でものごとを見ていることになります。

なので英語的な見方をしなければ「三単現」は見分けられないことになります。

英語を習い初めは「三単現」につけ忘れに苦労して難しいと思うかもしれませんが、大学で第二言語としてドイツ語やフランス語などを学ぶと英語がいかにシンプルになっているかがわかるでしょう。

ドイツ語やフランス語の語形変化に比べれば楽なので、英語の「三単現」は難しいと思わないでもらえればと思います。