"at"のイメージ | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は"at"を取り上げます。

"at"のイメージは、「点」や「ところ」です。

例えば、"at nine"は「9時に」ということですが、9時という一つの点がイメージされます。紙に横線をひいて、時間を8,9,10と区切っていくと分かると思います。9時という一点が"at nine"で示されています。

次の例は"at the station"です。「駅のところに」という意味ですが、これも「点」のイメージと結びつきます。「駅のところに」とは、駅の中ではありません。駅があってそのところにいるイメージです。

例えば"He is at the station."であれば、彼が駅のところにいることです。彼に会いに行くという場面を設定すれば、駅に近づけば、彼がだんだん見えてきます。しかし遠くから見ればどうでしょうか。恐らく小さく、点のように見えるのではないでしょうか。この「点」が"at"のイメージなのです。

このイメージを使うと次の違いも分かってきます。

(1)John kicked the ball.
(2)John kicked at the ball.

これらはどう違いますか?

(1)は「ジョンはボールを蹴った」となって、実際に蹴ったという意味になります。しかし(2)は「ジョンはボールをめがけて蹴った」となり、実際に蹴ったかどうかは分かりません。

ここでの"at"は、「ところ」というイメージがあります。"kicked at the ball"では、「ボールのところを蹴った」となって、空振りするかも知れません。一方"kicked the ball"では、「ボール(そのものを)蹴った」となり、蹴ったことが確実とされます。

日本語にはない前置詞は、英語の世界を理解するためには大切です。「~に」「~へ」などという日本語訳を何十と丸暗記しても、前置詞を使いこなせるようにはならないでしょう。なので、イメージで覚えることが、「英語の世界観」への一歩となると思います。