"I ll see you dead first." | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は"I ll see you dead first."という表現をとりあげます。

これは以前に取り上げた、Charles Dickensの「クリスマスキャロル」(oxford社のリトールド版)に出てきたものです。

場面は、甥が一緒にディナーを食べようと誘いに来たところで、Scroogeが言った台詞が"I ll see you dead first."です。

どのような意味でしょうか?

それぞれのことばを足してみても、意味がピンときません。文字どおりつなげて見ると、この場面では、"I"がScroogeで、"you"が甥になり、甥が死んでいるのをまず見るとなってしまいます。Scroogeと甥は、とても仲が良いというわけではありませんが、人殺しをするような関係ではありません。そもそも甥なので...。なので文字どおりに意味を足しても通じません。

その後"dead"が怪しいと思って調べてみると、これまた意味がわかりません。こういった場合、全体で意味をなしていると考えた方がいいのです。

それで"see"を調べていくと"I ll see you dead first."という表現が出てきます。場合によっては"dead"ではなく、"damned"や"hanged"がはいることがあります。

意味はどうなるかというと、強い拒絶を表して「まっぴらだ」や「まっぴらごめんだ」という意味になります。

これで先ほどの場面で通じるようになります。ディナーなど一緒に食べるなんて「まっぴらごめんだ」という強い拒絶を言っているのです。Scroogeらしさが分かります。

なぜ"I ll see you dead first."で、「まっぴらごめんだ」という意味なるかは分かりませんが、何か言われたことをするなら、「お前が死んでいるのをまず見てやる」→「お前を殺してやる」ということから、強い拒絶を表すようになったのではと思います。

今回の"I ll see you dead first."で思うことは、使われている単語がそれぞれ分かっていても、全体として意味が分からなければ、一度立ち止まって確認することが必要だということです。

こういった怪しいと思ったことを一つ一つ調べて確認していくことが、「英語の世界観」に入っていくことだと思います。