"irony"=「皮肉」ではない!? | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は久しぶりに類義語を取り上げます。

"irony"と"sarcasm"です。

どちらも日本語では「皮肉」という訳がありますが、違いは何でしょうか?いつもどおりロングマン英英辞典(Active Study)でみてみましょう。

"irony"
the part of a situation that is strange or amusing because what happens is completely different from what you expected


"sarcasm"
a way of speaking or writing in which you say the opposite of what you mean in order to make an unkind joke or to show that you are annoyed

ポイントだけ見ていくと、"irony"の方は"amusing"「面白い」とあり、"sarcasm"の方は"unkind joke"「思いやりのないジョーク」や"annoyed"「いらいらした」があります。

つまり、"irony"の方は、必ずしも悪い意味でつかわれない皮肉であり、"sarcasm"の方は、人を傷つけようとする悪意のある皮肉です。

日本語で「皮肉」というと、悪いイメージを抱きます。なので、タイトルどおり"irony"=「皮肉」ではないのです。

どちらかと言えば、日本語の「皮肉」は、英語の"sarcasm"にあたるのではないでしょうか。

言語学では、"irony"と"sarcasm"は問題にされていて、なかなか厳密には違いがはっきりしないようです。しかし学問のレベルでなければ、上にあげた違いというもので十分だと思います。

取りあえずいつもどおり"irony"と「皮肉」は、日英でまったくイコールでないことを抑えておきましょう。