英国で300年間フランス語が公用語に!? | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は英語の歴史について取り上げたいと思います。

英語史というかたいものではなく、英語昔話といったものです。


1066年にイギリスの国王が死ぬと、その国王の義理の弟ハロルドが国王に選ばれました。しかし、ノルマンディーのウィリアムが自分に国王になる権利があると主張し、ハロルドとウィリアムは戦うことになることになります。

この戦いで勝ったのはなんとウィリアムでした。

これによって、ウィリアムがノルマン人を高い地位につけました。このため上の階級はノルマン人、下の階級はイギリス人となってしまいました。

人だけでなく、ことばも変わりました。上流階級はフランス語、下流階級は英語となったのです。つまり、イギリスで300年間フランス語が公用語になっていたのです。

これは英語史では有名な話ですが、以下のような違いがあります。
下流階級のイギリス人が飼育する生きている動物は、"ox"(牛),"sheep"(羊),"swine"(豚),"calf"(子牛)ですが、上流階級がそれらを食べる時は、それぞれフランス語の借入語である"beef","mutton","pork","veal"になるのです。つまり飼育するのはイギリス人で、それを食べるのはノルマン人なのです。

このようにフランス語が英語の多く入ってきているのは、ウィリアムが戦いに勝ったという歴史があったからなのです。

歴史に「もし」は禁物ですが、もしウィリアムが負けていたら現在の英語はかなり違っていたでしょう。

イギリスも日本も島国で時々比較されますが、大きく違うと思われる点は、イギリスは多く侵入されていることです。

上で取り上げた300年もことばが変わることは日本では考えられません。日本で言えば、例えば中国が日本を支配し、300年間公用語が中国語になるようなものです。こんなことがあったら、日本語も変わっていたでしょう。

前にもふれましたが、やはり英語の歴史を知ることは、今の英語を知る上でも大切です。英語はフランス語の影響を受けていることを覚えておきましょう。