アメリカは成果主義か? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

アメリカは成果主義でダメ社員はすぐにクビ。ボーナスも給料もものすごい格差がつくのだ。日本は年功序列でボーナスも差がつかない。だから日本企業はダメなのである。

とは最近はそれほど聞かないが昔からよく聞くフレーズである。そして、新聞では一部上場企業の○○がより成果給を導入などという記事をたまに目にする。

そもそも成果主義とは何なのか?営業ならまだしも営業職以外に成果主義という言葉は似合うのか?働いた分だけスキルが向上するという考え方に基づいた人事考課は変なのか?そもそも成果を図ることは可能なのか?誰がどう図るのか?という疑問は多々存在する。

だが、年功序列はダメの象徴で成果主義は素晴らしいのだという考え方に基づいた論説は世の中に非常に多い。

そもそもアメリカってそんなに成果主義なのですか?年功序列でもないのですか?という疑問は以前からたまに記事にしてきた。

日本の雇用は変なのか? 経済自虐史観からの脱却


まず日本は横並びの評価・アメリカの企業は実力主義・成果主義という神話がまず否定される。

筆者が丹念に各種の研究を調べ実地で調査をしてきた経験によるとむしろ日本企業のほうが各人の評価に歴然とした差をつけておりアメリカの場合はそれほどで もないという構図が描き出される。また、アメリカでも年功という要素が存在するのは当然の話だともいう。(特に生産現場など
)(上記記事より)

さて、先日ブルームバーグでこんな記事を発見した。


ボーナス、パフォーマンス最悪社員ももらえる会社が3分の1


タワーズ・ワトソンによれば、10企業中3企業はパフォーマンス目標を達成できなかった社員にもボーナスを支払うつもりで、この割合は07年以来の最大。昨年は28%だった。

ということ。なるほど10社中3社しか最悪評価の社員にはボーナス・ゼロ。さすがアメリカだと思う人もいるかもしれないし、逆に3社も払っちゃうの?意外とアメリカも優しいなと思う人もいるだろう。だが、このような続きがある。

タワーズ・ワトソンによれば、パフォーマンス目標を全く満たせない社員は3%のみ。部分的にしか満たせない社員は8%いるという。目標を達成する社員は 56%、目標を上回るパフォーマンスの社員は25%、大きく上回るのは8%だった。そこそこ、または期待以下の社員に支払うボーナスの額が大きいように思 われる。

最悪がどの程度なのかわからないのだが3%しかいない最悪の社員(言い方は悪いが多くの場合は不良社員だろう・・・)にボーナスが払われるのだ…。これを成果主義と呼ぶべきなのだろうか。期待を上回った社員には記事内にもあるように約19%の上乗せがあるらしい。(あくまで平均値でとびぬけた払う会社もありそうなのでそう考えると中央値はもっと低いかもしれない)これも2割乗せはいいなあと思うのかたった2割ですかと思うのかは人それぞれだろうが、個人的にはやっぱりそんなに劇的な差はないなと思ってしまう。日本でも営業などならもっと差がつく職業/会社はいっぱいあるだろう。

まあ、一つの例なので何とも言えないが個人的にはやはり一部の人が騒ぐほどアメリカも成果主義ではないような気はしているし企業経営者や人事の人たちはそのことをもっと認識すべきだと思うのである。