アメリカ経済は弱弱しいながらも先進国の中では最もいいパフォーマンスをここ数年示している。さすが、アメリカ、腐っても鯛という感じだろうか。特に昨年後半からは消費が盛り上がりを見せ始めている。
賃金は低く、伸びは鈍いながらも雇用が増えていることが一つの原因だが、もう一つは原油安によって物価が下落し(上昇が弱まり)消費者の実質ベースでの可処分所得が増えていることも原因の一つである。
まあ、日本でも原油安の恩恵が期待されているようだが、物価下落は悪いことだとさんざん言われてきたが、実は物価下落は多くに消費者にとってプラスなのである。
インフレになれば景気が良くなるのだと叫ぶ人はそれでもいまだに多いのだろうか。今日はアメリカのこんなグラフを紹介したい。シカゴ大学のジョン・コクラン教授のブログから。
Deflating Deflationary Fears
より。元ネタはFrom a nice paper by Charles Plosser
とのこと。
1869年から1896年までの30年弱アメリカの物価は下落し続けていた。が、その間経済は問題なく成長していたのだ。
イギリスの例も先日紹介した
が、デフレ=経済停滞でもインフレ=経済成長でもない。まして、なんでもいいからインフレにすれば経済が成長するなんていうのは大嘘であるのがここからもわかる。まあ、この話は以前からしているのだが…。今日はわかりやすグラフがあったので紹介させてもらった。
さらに、上記のペーパーにはこんな表も紹介されている。
こちらは1920年代の各国のインフレ率と実質経済成長の比較だ。当時はアルゼンチンも先進国だったわけだが…。日本の行く末が恐ろしい…。それはそうと、やはりこちらもデフレ下で見事に経済成長が実現している。
いつもは理屈っぽい説明が多いので前回と合わせてわかりやすい具体例をあげてみた。
インフレもデフレも経済成長とはそもそも関係ないのである。いや、生産性向上に伴う健全な物価下落はむしろ経済成長にとっても消費者にとってもプラスなのである。