内部留保といえばOKらしい | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


麻生財務大臣が「内部留保をため込むのはけしからん」という趣旨の発言をしたらしい…。民主党時代にさんざん話題になったネタだ…。意味不明の内部留保課税なるものも検討されていなかったか…。

当時はまず内部留保が何を意味してるかわかっていないという基本的な批判から始まり企業経営に口出しするなという批判が強かったように思う。

今更こんなネタを蒸し返すとはやはり安倍政権は民主党と同じ社会主義政権であることが露呈してしまったと言わざるを得ない。

内部留保
は企業の利益のうち社外に流出しなかったものである。もちろん多くの企業はそれらを現預金としてため込んでいるとは限らず、資本調達の一手段として各種投資に回しているわけだ…。だから、内部留保がけしからんというのはわけのわからん話なわけだ…。

まあ、現預金をため込んで投資に回していないという不満を表明したとすれば話としては筋は通っているようには見える。

だが、現預金をため込むことはそんなに問題なのだろうか…。

そもそも、どんな企業でも利益を上げなければいけないというプレッシャーにさらされている。あるいは、投資の好機を探している。それなのに投資せずに現預金を溜め込むというのは適切な投資先がないから現預金で置いておいたほうがよいと判断しているからだろう。

「日本企業は引っ込み思案だ」、「リスクを恐れすぎている」との批判もあるかもしれない。確かにそういう企業もあるだろうが、本当にすべての企業がそうなのだろうか?あるいは、仮にすべての日本企業がそうだとして、日本市場に外国企業が参入することは基本的には制限されていないのだから、それならば外国企業、あるいは外国資本が日本で積極的にリスクをとってビジネスを行えばいいだけの話だ。だから、「日本企業がリスクをとっていないこと」が仮に事実としてもそれ自体は日本経済にとって別に大した問題ではないはずだ。

まして、企業がためている現預金を賃金に回せというのはまさに噴飯ものだ…。ある程度労働市場が適切に機能しているのならば企業は生産性に見合った適切な賃金を支払っていると考えるのがふつうである。賃金とは生み出したものに対する対価であるから、現在企業が持っている現預金を突然、労働者に分配するというのは株主に対する背信行為以外の何物でもないわけで、できるわけがない。

現預金としてため込むならば配当せよとの話もあるだろうが、配当しようが現預金としてため込もうがお金はお金なので大して変りはない。現預金が多い企業が嫌ならばそういった企業の株を買わなければいいだけの話だし、配当されたところで配当された受け手が企業よりも適切に次の投資先を見つけられるとも限らない。

もちろん、現預金だからといってただ無為に溜め込まれているわけでもなく、運転資金として使用されている場合もあるだろう。

まあ、ざっくりと考えてもいちいち企業経営に口出しして「現預金をため込むな」という必要性は全くない。もちろん、株主の立場から要求するというのならばわからなくはないが。少なくとも企業が現預金をため込むには合理性があるからであって、それが不満ならば株式投資などやめて、自分でビジネスでも始めればいいだろう。

経済政策がうまくいかないからといって、もはや居酒屋談義レベルのいちゃもんをつけるのはいい加減やめにしたほうがいいと思うのは僕だけではないはずだ…と願いたいものだ。