残念ながら、倒産件数が減り始めたのは2009年の下期からだ。この時はまだ民主党政権。2008年のリーマンショックからアメリカ経済と世界経済が回復してきている。ただそれだけが理由だろう。まあ、民主党政権による意味のない中小企業への金融支援というのもあるかもしれないが…。いずれにしても倒産件数が減り始めたのは安倍政権誕生以前だからアベノミクスで倒産件数が減っているわけではない。
むしろ、アベノミクス=事実上の財政ファイナンスによる円安政策と考えるならばこっちのほうが問題だろう。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20141208/11/englandyy/29/72/j/o0500037513152729818.jpg?caw=800)
(Zero hedge より)
太い線が2013年以降の円安による倒産数。細い線が円高による倒産数だ。この比較が必ずしも適切かどうかはわからないが、少なくとも円安のほうが企業にとっては悪影響があるということは明らかだろう。
しかも円安は意図した安倍政権による財政ファイナンスによって引き起こされているので深刻だ。白川日銀は批判されながらも大胆な金融緩和を継続していた。それでも円高になったのは欧州危機などの影響で安全資産とみなされていた円への買い需要が高かったことの証拠だろう。
有効求人倍率が上がっているという話もあるがこれも既に民主党政権時代から低下傾向だ。失業率も2010年をピークに低下傾向。その間、欧州債務危機の終了やアメリカ経済の改善の継続もあり単純にこれらが安倍政権の政策のおかげとは言い切れない。
その上に2014年には日本経済は再度マイナス成長に陥る一方で実質賃金も低下が止まっていないのだ。
その上に本田内閣官房参与とかいう人はとうとう公式に「日本は事実上の財政ファイナンスをやっているがそれが悪いことかわからない」とまで発言してしまった。
一体何がどうなっているかわわからないが、おそらくこれが日本の中枢の人たちの経済学に対する知識というものなのだと思う。
ここから一直線に進むかはわからないが円安はまだまだ進むだろう。通貨安/インフレを実現する唯一の方法は通貨に対する信認を傷つけることなのだから。
円安は本当にみんなにとってハッピーなのか。改めて考え直さないといけないのではないだろうか。まあ、ほうっておけば安倍政権はますますの金融緩和とバラマキ政策に突き進むことは間違いない。なぜならば政権維持が一番の政党にもはや自民党はなり下がっているからだ。