経済が低迷する理由は需要サイドではない | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


先日の記事・アメリカ経済が停滞する理由 に対してuncorrelated氏に疑問を呈していただいた。(経済学を無視してアメリカ経済が停滞する理由が語られている

どうも、ツィッターの短いやり取りや僕の主張の本質をイマイチ理解していただいてないようなのでシンプルながら補足させてもらいたいと思う。

1.「実際には米国のレバレッジ解消はかなり進んだとのデータもある」とあるが、具体的なデータを引用していない。2012年7月の「米国家計のバランスシート問題の動向 」を見る限り、あまり力強い感じではないようだ。


とのことだが、データはその辺のエコノミストやアナリストの書き物を見ればかなり落ちている。マーケット的な解釈は少なくとも米国家計のバランスシートの調整は大部分が終了したというものだ。まあ、氏はマーケット関係者・金融関係者ではないのでそれはいいだろう。もちろん、おっしゃるように力強さはないのも事実だ。住宅市場はだいぶ回復してきているのは事実でたとえばアメリカの住宅関連株の値動きを見ればそのことがよくわかるはずだ。


いずれにしても、レバレッジ解消が米国経済の足を「大幅に引っ張っている」との認識は現状においては正しくないとの見方は主流だ。住宅市場やレバレッジ解消が2012年以降に米国経済の足を引っ張ることはないとの見方は主流でありアメリカの住宅がらみの指標はそのことを表している。

2「リチャードクーが唱える(爆笑)“バランスシート不況”のような状況」とあるが、フォーマルにはフィナンシャル・アクセラレーターとして知られていて*1、バーナンキFRB議長のような著名なマクロ経済学者が理論構築をしてきたもので、一般的なマクロ経済モデルで示される現象だ。「(爆笑)」をつけるようなものではない。

爆笑かどうかはその人の主観だから別にどっちでもいいと思うのだが、僕ごときが爆笑というのが許せないらしいので、たしかに優等生的観点からすれば無礼な物言いなのかもしれない。そういう意味では氏の指摘は正しいだろう。

ただ、重要な点は僕が主張したいのはバランスシートの毀損が経済に全く悪影響を及ぼさないという主張ではない。バブルの後には過剰な借り入れのツケを払わねばいけない状況がおとづれるのは当たり前の話である。それをバランスシート不況と呼ぶならば異論はない。でも、借金しすぎたら返済を重視してしばらく消費を抑えるのは当たり前の話であり'so what?'というのが僕の感覚だ。

僕がしたかったのはそのような循環的な話ではない。僕がイメージしていたバランスシート不況とは
バランスシートが悪化することによって経済が政府の介入なしには二度と立ち上がらなくなるというような意味だ。もし、そうだとしたらなぜ家計部門(あるいは企業部門)のバランスシートの悪化が根本的な経済に悪影響を与え、数年にも及ぶ長期的な悪影響を及ぼすか、そしてそれが市場の自浄作用では解決できないカが理解できないと僕は言いたいのである。

ものすごくシンプルな理屈で言えば、

借り入れ側の裏側には貸し手側がいる。借り手の損失は貸し手の利益になっているはずだ。当然、よくある解説としては短期的には貸し手のほうが有利だから・・・。とか消費性向が借り手のほうが高いから・・・。という解説はなされるが、仮にそうであったとしても短期的にそれが経済の足を引っ張るとしても長期的にそのような問題が解決されず経済の足を永遠と引っ張り続けるとは考えづらい。

また基礎的なファイナンスの理論で言えば、借り入れる側の負債の額は調達に影響を及ぼさないはずだ。もちろん、現実に資産効果が全くないとは言わない。それでも多大な負債によって長期にわたって消費者や企業が悪影響を受けるというのは受け入れがたい。まして経済全体に多大な影響を及ぼすとは考えづらいと僕は思うし、そう考えるのが標準的だろう。

今のアメリカ経済の低迷はバランスシート不況の典型である。一度バランスシートが毀損すると政府の政策なしには経済の状況は好転しないのだ。という解説がしばしば聞かれるけれども、僕自身はそのような問題は放っておけば解決する。むしろ、政府の経済への介入によって供給サイドの問題がより大きくなり潜在成長率が下がることのほうに問題があると僕は思っているのである。バーナンキ氏は循環的な低迷を放置しているとそれが構造的な問題へと変わってしまう。だから手を打たねばならないとしきりに力説する。が、現実には就業率の低下・NAIRUの上昇や需給ギャップが叫ばれる割にはじりじりと上昇している設備稼働率や一向に低下しないインフレ率を見ればアメリカの抱えている問題は循環的なものではなくて構造的なものであり金融緩和や政府による弱者救済的な政策では解決できないと考えるほうが全うだろう。FED内のタカ派や右派の経済学者の多くもそう主張している。

バランスシートの問題以上に大きな構造的な問題がアメリカ経済を覆っている。景気循環的に低迷しているのではなく潜在成長率の低下を伴った低迷の原因になっていると僕は思っている。


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