一方で原発や火力発電などの発電方法は利権に満ち溢れ、多くの人の命を危険にさらす汚らしい発電方法であると感じている人も多いかもしれない。
はたして、再生可能エネルギーはそれほど善意に満ちた美しいものなのだろうか?
いや、二酸化炭素削減というのはそれほど美しい理念であり、善意に満ちた人々によって行われているものなのだろうか?
本日紹介したいのはこの本である。
排出権商人
臨場感にあふれ事実に近い金融小説を書く黒木亮氏の排出権商人 である。
世界11カ国を舞台にし排出権という利権・欺瞞・偽善を利用して一儲けしようという人々のどろどろしたあり方を臨場感たっぷりに今回も描いている。
日本は5年間で1兆円とも言われる国民負担をCO2削減で強いられている。海外から排出権を購入しているわけだ。そして、それに群がるのは先進国だけでなく中国などの新興国である。例によって、したたかさのない日本がいかに食い物にされているかがよくわかる。5年で1兆の国富が海外に流出しているという事実を我々はどう捉えればいいのだろうか?少なくとも僕は憤りすら覚える。
そして、国際舞台では排出権をめぐる争いは所詮、汚らしい政治の世界であるということが本書を読むと明らかになるだろう。もちろん、僕はそのような世界を理想論に基づいて否定しない。国際政治とは厳しい駆け引きの世界であり、政治はもちろん、ビジネスというのも美しいものではない。ドロドロとした汚さがそこには常にある。
しかし、少なくとも本書を読めば再生可能エネルギーや地球温暖化防止を妄信的に美しい理念であると考えている人々の目は覚めるだろう。そして、CO2削減というのが、いかに政治的で愚かしいことかというのが理解できるかもしれない。
いずれにしてもこの作品も黒木氏の作品らしく臨場感にあふれている。そして、「排出権取引」や「地球温暖化」・「温室効果ガス削減」などについて素人でもわかりやすく基礎的な知識がつけられるので入門書の入門書としてもある程度オススメかもしれない。いずれにしても、一気に読み終えてしまう。そういった一冊といえるだろう。
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