ロストジェネレーションを防ぐことはできるのか? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


僕のバブル世代はそんなにうらやましいんだろうか? という記事を受けてwillyさんがこういった記事(ロスト・ジェネレーションが失ったもの )を書かれた。実際にその世代としての思いが書かれてあり納得する点が多かった。僕の前後の世代もロストジェネレーションになりかかった世代であるとも思っているので。(就活は厳しかった)

もう少し自分の考えていることを書いてみたい。(Willyさんに論争を挑んでいるわけではない)

リーマンショックとそれに伴う急激な悪化は世界中でロストジェネレーションを作り出した。イギリスでも大卒者の内定率が大きく落ち込み、「ロストジェネレーション」が生み出されると言われたし、その状況は継続しているようだ。

日本と違ってイギリスの場合には就職するに当たって「インターンシップ」などでの経験がないと厳しいという。しかし、景気悪化によってこの「インターンシップ」の募集が減ったことが大卒者の内定率の低下に拍車をかけたという。しかも、インターンシップに行くためにはある程度のコネが必要なようで、このことがイギリスにありがちな格差社会の問題と結び付けられて批判もされている。

また、先々週はスペインで地方選挙が行われたが、それを前に若者が現政権への抗議行動を行ったという。

Spain's 'Lost Generation' Vows to Fight On

Their movement symbolizes the mounting frustration over unemployment in Spain -- 45 percent among those under 25, and 21 percent overall, the highest rate in the European Union. Many allege the situation has worsened due to government austerity measures to reduce the national deficit and prevent a Greece-style EU and International Monetary Fund bailout.(独・シュピーゲルより引用)


よく知られた話ではあるが、スペインでは25歳以下の若者の45%が失業している。スペインはもちろんずば抜けているが、若者の失業率は欧州では全般に高い。日本とはそのあたりは比べ物にはならない。(参考記事→日本の若者は恵まれすぎている。そしてもっと怒りの声をあげても良いとも思う

少なくともなんだかんだ言って日本の現状はそんなには悪くない。むしろ新卒一括採用は新卒者には有利な状況を作り出していると僕は思っている。

ロストジェネレーションの問題は非常に難しい。一番の解決策は景気の悪化を防ぐことであろう。しかし、安易な財政政策や金融緩和だけでは景気は回復しないのは明白である。また、野放図の財政政策は将来世代にその負担を先延ばしするという意味では、別の世代間の不公平を作り出すだろう。

たしかに、好景気の後には悪い景気がある。前者の好景気が間違った政策によって作り出されたものであるならば、そのときを謳歌し、上手く逃げ切った人々は後者の世代に対してツケを押し付けたということもできるだろう。

当然ながら、ロストジェネレーションの問題に対応するための労働政策が必要なことはいうまでもない。そして、それは少しでも多くの労働者を労働市場に送り込むことで国家の発展にもつながるからだ。そのための職業訓練制度などは少なくとも現在においてはかなり整備されているだろうから、これ以上の対応というのもまたかなり難しいしコストがベネフィットを上回る可能性は高いのではないだろうか?

労働市場の改革を!と叫ぶ人も多い。しかし、新卒一括採用は少なくとも新卒者には有利だ。また、正社員の解雇規制の緩和などの政策も一定の有効性を持つだろうが、企業がなるべく長期で人を採用したいと考える以上は「長期雇用・新卒採用」という制度にも一定の合理性があり一気にそれが崩れることはないだろう。また、労働市場の柔軟性が高いとされる英米でも若者の失業率が高いことを考えれば、解雇規制の緩和(あるいは合理化)が日本の労働市場改革ならびに世代間格差の解消の起爆剤になるとも考えがたい。

また、どの時代に生まれても平等にしましょうという考え方は正しいが、それを言うならばどの国に生まれてもどの親の元に生まれてもどの土地に生まれても等しい競争条件を用意せよというのと同じことである。

だから、このロストジェネレーションの問題を解決するのは容易ではないだろう。だからと言って何もしないというのか!という批判はもっともである。しかし、何かをすることで社会全体で受けるベネフィットがそのコストを上回るかはまた難しい問題だと思う。


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