貨幣数量説 というのがある。
M×V=P×Qという式で表される。
Mが中央銀行が操作できるベースマネー 。
Vが貨幣の流通速度。
Pが物価の水準
Qが取引量
となる。
VとQは一定だから(を仮定すれば)、Mを増減させればPを動かすことができるというのがここで言われていることである。だから、一部のリフレ派といわれるような人々は中央銀行がお金を潤沢に出せば貨幣の流通量が増えて物価が上がってデフレから脱却できるという。
しかし、現実には中央銀行がベースマネーをじゃぶじゃぶにしてもお金は実体経済には出回らず物価もほとんど上がっていない。現実には貨幣の流通速度Vというのは一定ではないからだ。
そこで、テイラーのブログを見て個人的に興味を持って、日・欧・英のそれぞれのグラフも作ってみた。
日本
ECB(欧州中央銀行)
BOE(イギリス)
それぞれ、ベースマネーと貨幣流通速度(M3(BOEはM4)/ベースマネー)を取っている。
まずわかるのは貨幣の流通速度は一定ではないということ。その時点で上記の貨幣数量説の大きな前提が崩れる。
そして、それ以上に重要なのは中央銀行がベースマネーを増やすとむしろ貨幣の流通速度が落ちてしまうということである。
もちろん、何らかの要因で景気が悪化→貨幣の流通速度が減速→中央銀行がベースマネーを増やす。という経路も考えられる。しかし、ベースマネーを増やして景気が戻ってきても流通速度は元には戻っていない。
そうであるならば、景気のよしあしによって貨幣の流通速度が影響を受けているという説明はおかしく、やはり中央銀行が貨幣を供給しても、貨幣の流通速度の減速によってその効果が相殺されてしまうということが言えるのではないだろうか?あるいは、貨幣の過剰な供給が却って貨幣の流通速度を遅らせてしまうといってもいいのかもしれない。
貨幣でじゃぶじゃぶにすれば物価は上がるというのはやはり個人的には相当に違和感がある説明だし、上のデータはそのことを表しているような気がしてならない。
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