最近の若者は安定志向でねえ。内向き志向だからなあ。
とマスコミの報道をなんとなく間に受けたおじさん(おばさん)たちがつぶやいて満足する。
本当にそうなんだろうか?と僕は思ったりもしている。本当に最近の若者は大企業志向で安定志向なんだろうか?
まず最初に思うのは、
①景気が単に悪いだけでしょ?という疑問だ。
景気が悪いときは公務員になりたい人間が増えるのと同じで、当然安定した企業に勤めたいという人が増えるだろう。中小企業やベンチャー企業では将来どうなるかわからない。起業しようにもビジネスチャンスだって少ないわけだし。
②海外
アメリカでもインターネットが普及して好景気が持続した90年代半ば以前は大企業志向が強かったということを聞いたことがある。(ソース忘れました。すみません)また、金融業界を目指す若者が多いというが、これも一種の大企業志向といえるだろう。グーグルやフェイスブックだって今や大企業の部類かもしれない。
イギリスの場合はどうだろうと思って何人かの同僚に聞いてみたら、やはり大企業・金融業界や国家公務員というのがトップクラスの大学生には人気だという。ただ、イギリスの場合には日本以上に新卒採用は少ないから、将来へのヘッジも兼ねて会計士や弁護士になる人も多いという。(こういった資格志向も大企業志向に通ずるところはあるだろう)
③ふつうは人間および労働者というのはリスク回避的な生き物だ。当然、将来が安定する(これが幻想の可能性はあるが)大企業の正社員になりたいのは当たり前の行動だ。
④当然、大企業のほうが研修などの制度も充実している。仕事の仕方や人脈を広げることも容易だろうし、いろんな仕事をしてみたいという人にとってもメリットがある。
⑤多くの日本企業が海外で稼ぐ時代。日本国内の投資機会・ビジネスチャンスは相当限られている時代だ。日本で仕事したって楽しくなさそうだし。。。儲からなさそうだし。。。ダイナミズムもなさそうだ。。。と考えてより海外で働くチャンスが多い大企業に入りたいと若者が考えても変じゃないだろう。
こうやって考えると、若者が大企業に入りたいと思うのはかなり合理的な行動だし、必ずしもネガティブなものではないと考えられる。
「最近の若者は安定志向だからなあ」とつぶやくのはどうなんだろう。
たとえば、高学歴芸人とかタレントとか増えているみたいだけど、それって若者のリスク志向の表れじゃないの?
今の若者は学生のころにリスクヘッジとして起業をするっていう話も聞いたことがある。たしかに、起業はかなり身近になっている。僕の周りにも学生のときになんらかのビジネスをやっていたという人は多いし、サイドビジネスとして今も継続している人たちもいる。
たぶん、多くの人が考えるほどに若者は安定志向ではないんじゃないかなというのが僕のイメージだ。あるいは、安定志向にならずるを得ない時代といえるだろう。右肩上がりの経済・社会のあり方を前提にせずに昔の人々よりも足元をしっかり見据えながら、将来どうあるべきかを考えることができている優秀な若者も多いはずだ。
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