ま、当たり前といえば当たり前の話。
最近は金融政策に関して「リフレやっても意味ないから」というのをよく書いていたので、財政政策のネタはすっかり書いてなかった。
久々に。今日は理屈じゃなくてデータを示してシンプルにいきたい。
「そういうことには疎い」と言っちゃった菅直人は増税して政府が成長産業に投資して、雇用を増やすと息巻いているようだ。じゃーー、政府が支出を拡大すれば本当に雇用が拡大するのだろうか?
データを見てみよう。
1996年から2008年までのOECD加盟国(のうちデータがそろっていた国)のGDP対比の政府支出と失業率それぞれの平均を取ってみたグラフ。(OECDのページならびに世界経済のネタ帳から筆者が作成)
縦軸がGDPに占める政府支出の割合。横軸が失業率だ。
どうだろう?
政府支出が高い国が失業率が低いわけではないことは一目瞭然だ。
さらに日本のデータだけ見てみよう。下のグラフ。(1997-2008年)
こちらも縦軸がGDP対比の財政支出で横軸が失業率だ。
政府支出を増やしてもやはり失業率の低下にはつながらないようだ。政府支出の増大はむしろ失業率の上昇につながっているようにさえ見える。
ちなみにこのデータは財政支出とその一年後の失業率を取ってみた。(1997-2008年の数字)
なぜなら、同じ年同士のデータなら不況→失業率の上昇→政府支出の増加という可能性があるという反論もありそうだからで、こちらのほうがより政府支出が失業率に与える影響が見られると考えられたからだ。
以上のOECD諸国や日本の過去のデータからは政府支出を増やしても失業率が下がらないことは明らかのように思える。
アメリカでもオバマによる大規模な財政出動は効いてないとの批判が多い。
なぜ財政支出は効かないのか?簡単にいくつか理由を挙げておこう
①政府には成長産業を見つけることはできない。よって政府による財政支出は常に非効率であり雇用回復に役立たない
②政府による財政政策は淘汰されるべき弱い産業に回ることも多い。かえって市場機能を通した資源の配分を不適切にし経済成長を妨げる。
③財政支出が将来の増税を予測させる場合は多くの国民は増税に備えて消費を手控える。よって財政政策による景気刺激の効果は民間の消費や投資の手控えによって相殺されてしまう。
政府が増税して賢く投資すれば雇用が増やせると「そういうことに疎い」菅首相は思っているようだが、上記のデータや全うな経済学者の誰もが同意するであろう財政政策が効かない理由を「疎い」んだから、しっかりと官僚にレクチャーしてもらうべきだろう。
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