ちょっとだいぶややこしい話かもしれないけど・・・・。しかし、おもしろいことが市場で起こったので書いてみる。
今週。アメリカの5年物の物価連動国債 の入札があった。
物価連動国債とは物価が上がれば上がるほどリターンが増える国債のことだ。
普通の国債の利回りとこの物価連動国債の利回りの差が市場の予想するインフレ率として扱われる。
(名目金利=実質金利 +期待インフレ率 ;フィッシャー式を思い出してほしい)
今、アメリカの5年の名目金利は1.2%(アメリカの普通の5年国債の金利)、そして、物価連動国債の落札金利(=実質金利)が-0.5%だった。
上の式を使うと・・・
1.2%(名目金利)=-0.5%(実質金利)+1.7%(期待インフレ率)
ということになる。
ところで、この-0.5%というのはどういうことなんだろうか?実質金利が-0.5%。先週の記事(リフレ派への素朴な疑問(2) )でも見たことだが、これはアメリカの今後5年の投資に対する物価の影響を考慮した後のリターンが年率でマイナス0.5%だということを意味しているのだ!!
わかりやすく言うと・・・。5年はややこしいので1年で考えてみよう。
100万円を投資すると、1年後のリターンは名目では101.2万円になる。しかし、世の中の物価は1.7%上昇しているので、1年後の101.2万円は現在の価値だと99.5万円の価値しかないのだ。よって物価の影響を考慮した後の(実質ベースの)リターンは-0.5%ということになる!!
FED(アメリカの中銀)はデフレ阻止のためになりふり構わずインフレ率を上げる政策を実行しようとしている。しかし、その結果、市場はインフレではあるが、実質ベースではリターンがマイナスになる今後5年の姿を描いている。インフレになるが副作用が強いから実質金利はむしろマイナスになりますよということを暗示しているのだろうか。
インフレにすれば景気はよくなる。日銀はインフレへ向けてがんばれというが。。。がんばろうとしているFEDの政策の結果、市場が予測する今後5年間の姿は実質ベースでリターンがマイナスになる世界になってしまった・・・。
はたしてそれが正しい姿なのだろうか・・・。デフレでも実質ベースで成長するほうがよくないか??
※ただし、これは一時的な市場のあやである可能性も高いと思っている。後は、僕は納得しないが、FEDが人為的に国債市場における実質金利を押し下げることに成功したので今後は投資が活発化するという意見もある(しかし、そうであるならば、実質金利と名目金利は上昇しないといけないからおかしいと思う)
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