粉じんの分析については大きく分けるとあと2つです。
ひとつは石綿について、もうひとつがX線回析分析法です。
X線を使用して、どんな元素がどれくらい含まれているか調べる方法です。
最近ではTV番組で何かを調査する時に使われていたりするので、聞いたことある人も多いでしょう。
私は学生時代に実習で使った事がありますね。当時は何の事かいまいち分からなかったけど、今となっては、凄い実習をしてたんだなって思います。
では最後の追い込みをしましょう。
●X線回析分析法
・対陰極がCuのX線管球を用いて分析した場合、トリジマイトの主回析線(d:4,33Å)は、2θ:20.5°に出現する。
・特性X線の波長は、K、L系列ごとに異なるが、原子番号が大きくなると短くなる。
・対陰極がCuの場合、X線の単色化に用いるKβフィルターは原子番号が1小さいNiが用いられる。
・モノクロメーターによってKβ線は殆ど除去されるが、Kβフィルターを用いた場合より回析X線の強度は弱くなる。
・ゴニオメータの走査速度は、回析線のピーク位置や回析線強度に影響を及ぼす。
◎X線回析分析装置を用いて粉じん試料中の遊離けい酸分析を行ったところ、回析図形上で尖鋭な回析ピークが得られなかった理由
・レートメータの時定数の設定が小さすぎた。
・発散スリットの幅の設定が通常の場合より狭かった。
・受講スリットの幅の設定が通常の場合より狭かった。
・分析資料が石英繊維ろ紙に捕集されていた。
※ゴニオメータの光軸が正しい位置からわずかにずれていても尖鋭なピークは得られる。
・基底標準吸収補正法は、試料の後側に置いた基底標準物質のX線回析強度の変化量を基にして、分析試料のX線吸収量を補正する方法である。
・吸収補正を行う事により、定量範囲は広くなり、マトリックスの吸収の影響を少なくすることができる。
・検量線は、縦軸のX線吸収補正係数を乗じた石英の回析線強度をとり、横軸に石英量をとって作成する。
・金属基底標準板には石英の測定回析線より高角度側の回析線を持つ材質を選ぶ。
・試料の採取にフッ素樹脂加工グラスファイバーろ紙を用いた場合には、ろ紙に固有の測定回析線を用いることができる。
・X線回析分析装置のよる定性分析で、管電流及び管電圧を見直し、感度を上げて再度分析しても遊離けい酸の存在を示すピークが認められない場合は、遊離けい酸含有率は0%として取り扱う。
・X線回析分析装置による定性分析で、クリストバライトの含有が認められた場合、りん酸法による定量操作を選択してはならない。
※クリストバライトはりん酸溶液に溶解するため。
◎有効直径20mmのフィルターに1.26mgの粉じんを捕集した。クリストバライトをX線回析基底標準吸収法により定量操作を行ったところ、クリストラバイトの主回析線強度は150cpsであった。クリストラバイトの含有率を求めよ。
ただし、X線吸収補正係数は1,10、クリストラバイトの回析線強度は1mg/cm²のとき4,000cpsとする。
解き方
直径20mmのフィルターの面積は
1[cm]×1[cm]×π=π[cm²]
1cm²当たりの粉じん量は
1.26[mg]/π[cm²] = 1.26/π[mg/cm²」
補正後の回析強度は
1.10×150[cps] = 165[cps]
粉じん中の石英の含有率は
165[cps]/4000[cps]×1[mg/cm²]/1.26/π[mg/cm²]×100%
≒10.3%
となる。
一般的な試験の計算に比べると、与えられた数値や単位を元に流れを考えてなんとなく計算すると、似たような答えが導き出されるので、適当に計算しても当たる可能性が高いですねW
◎鉱物性粉じんの定性分析を、対陰極としてCuを用いたX線回析分析法で行ったところ石英の存在が認められた。石英の3強線の回析角度(2θ)の組合せは・・・?
20.87°、26.66°、50.18°
X線回析基底標準吸収補正法
・金属基底標準板は石英の主回析線より高角度側に回析線のある亜鉛又はアルミニウムが用いられる。
・X線吸収補正係数は、計測された金属の回析線の強度と試料を乗せたときの金属の回析線の強度との比と、金属と石英の回析線のそれぞれの回析線の回析角度の正弦比から求める。
・吸収補正法は直接法に比べて定量範囲が広くなり、共存する他の物質の吸収の影響を少なくすることができる。
・検量線は、縦軸にX線吸収補正係数を乗じた石英の回析線強度をとり、横軸に石英量をとって作成する。
・粉じん試料を採取する前のフィルターを載せた金属板の回析線強度と粉じん採取後のフィルターを載せた金属板及び石英の回析線強度を計測する。
◎X線回析基底標準吸収法により、粉じん中野石英の定量を行ったところ、次のような測定結果が得られた。
有効直径20mmのフィルターに、再発じん法により1.26mgの粉じんを捕集した。このフィルターの石英の主回析線強度は325cpsであった。粉じんの石英含有率(%)を求めよ。
ただし、X線吸収補正係数は1.20、石英の回析線強度は石英が1mg/cm²のとき6,500cpsとする。
解き方
補修面積はπr²なので、半径10mm=1cmから
π×(1cm)²=π[cm²]
1cm²あたりの捕集量は
1.26[mg]/π[cm²] ≒ 0.40[mg/cm²]
吸収補正後の主回析強度は補正係数を乗じるので
1.20×325 = 390[cps]
石英含有率は
390[cps]/6500[cps]×1[mg/cm²]/0.40[mg/cm²]×100[%] = 15[%]
となる。
私が数年前に第二種を受験したときの問題集に載っていた過去問と昨年の試験問題で、計算問題が数問あるが、ほぼ同じ問題があった。数字が1~2か所違うだけで、文言まで同じだった。
使っている問題集は過去2年(前年はないので、2・3年前)の問題の解説が載っている。
しかし、過去2~3年の間、出題されなかった問題が現れるパターンもある。
全ての内容を理解していれば、解けるだろうが、そこまで出来る人は少ないだろう。
私の経験から言うと、過去問h5年分くらいやっておくのがベスト。
それは出題の傾向も分かるし、ある程度規則的な問題の出し方が見えてくるからだ、二種を取得した時は、過去3年間、同じ文言が出題されていた。
私はがむしゃらに試験勉強はしていない。学生時代のテスト勉強を思い出すが、教科書読むより、過去問やる方が効率が良い。
でも、公表試験問題って5年も残してくれてないのが残念ですね。