アーク溶接に新たなルール! 対策編 | Engineer’s Laboratory

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アーク溶接で発生する溶接ヒュームが人体に悪影響を与えるので、特定化学物質に指定されたことを前回のブログに書きました。

 

今回はその対策についてですが、参考にして頂ければと思いますが、現場によって条件が違いますし、労基署の担当者によって見解も同じではない場合があるので、全く同じとは言えません。

 

 

 

ではどんな対策が必要なのか?と言うことですが、一番は有害なモノを出さない事

例えば溶接の方法を変えるとか。

 

でも、アーク溶接なしで強固な接続は難しいです。

 

次にやるべき事は、体内に取り込まない事です。

 

換気装置や集塵機などの設置で、作業者の周辺にある有害なものを減らします。

 

屋内の作業場では局所排気装置を使用したり、全体換気を行う様に設備を整える必要があります。

 

更に、保護具の着用も必要です。

 

一番簡単なものは防塵マスクです。

 

防塵マスクには基準があり、溶接ヒュームにkなしては『DS2』『DS3』のものを使いましょう。

 

それ以外のものはフィルターの能力が違うので、場合によっては筒抜けで意味がない事に成ります。

 

そして、どれだけの濃度のものが発生しているかを調べる『作業環境測定』が必要になる場合があります。これは、作業環境測定士しか行えない測定なので、そう言う機関に依頼する必要があります。

全ての溶接を行う場所ではないので、各現場がどういう対応が必要なのか分からない場合は労基署に聞くのが一番早いです。

 

因みに作業環境測定は半年ごとに行う必要があると定められておりますので、会社としては経費が・・・。

 

 

 

次は溶接ヒュームの取扱についてです。

 

特化物に指定されたので、『特定化学物質作業主任者の専任が必要になりました。

 

これは技能講習を修了した者の中から会社が専任して、労基署に届け出る事になります。

 

令和4年の4月から適用となるので、猶予はあと1年ちょっとです。

 

それまでに担当者を決め、技能講習を受けて、終了試験をパスする必要があります。

 

 

特化物を取り扱う場所は関係者以外立入禁止となるので、標示が必要です。

 

 

 

 

更に、特化物を扱う場所では飲食や喫煙も禁止ですので、こちらも表示が必要です。

 

 

 

これで終わりではありません。

 

溶接の現場ではヒュームが床に溜まります。

 

これを掃除しなければなりません。

 

厚労相の指示は床を水洗いすることとされていますが、実際に溶接現場の床を水浸しにすると、感電の危険性が高まるので、私は止めた方がいいと思っています。

 

根本的なことですが、溶接ヒュームは雪の様に降ってくるので、作業台や溶接機、棚や部屋の中にある物すべての上に落ちてくるので、床を水で洗っても床しか綺麗になりません。

 

水洗が無理な場合はHEPAフィルター付きの真空掃除機で掃除することとされています。

 

いろんなタイプの掃除機がありますが、個人的にはマキタの掃除機にオプションのHEPAフィルターをセットするのが良いかと思っています。

 

 

 

 

 
 

 

ただし、溜まったゴミを捨てる時にヒュームが舞い上がる可能性があるので、必ずマスク着用で行う事が大切です。

 

そして、特化物の処分についても考えなければならないでしょう。

 

今までは他のゴミと同じ様に捨てていましたが、特化物は専用の密閉出来るゴミ箱に入れなければならないとされています。

 

その後の処理は回収業者に問い合わせる必要があるでしょう。

 

場合によっては処分量が上乗せされる可能性もありますね。

 

 

大雑把な内容はこんな感じです。

 

 

鉄工所の様に毎日作業している会社もあれば、月に1回程度の何かの補修で使うと言う会社もあるでしょう。所轄の労基署の方に尋ねたのですが、不定期でも継続して同じ場所で溶接を行うのであれば、対象となるという見解でした。

 

回数や作業の時間についての明確な数字は示されていません。

 

その理由について私なりに思うのは、アーク溶接にも種類があり、条件で発生するヒュームの量が違うからだと思います。

 

ここで、ヒュームの発生する量の違いを簡単にまとめます。

 

被覆アーク溶接では目に見えて煙がモクモク出ているので、ヒュームの発生は多いです。

 

しかし、あの煙は溶接棒の被覆が燃えた煙が含まれております。

 

被覆アーク溶接よりヒュームが多く発生するのはMAG溶接です。

 

炭酸ガス溶接とも言いますが、リールに巻かれた溶接ワイヤーを自動で送りながら、二酸化炭素で溶接部をシールドしながら溶接する方法です。

 

更にヒュームが多いとされるのはセルフシールドアーク溶接と呼ばれるものです。

これはMAGの様に溶接ワイヤーを送るタイプですが、シールドガスを使用せず、フラックスワイヤーを使う事で溶接部の周辺をガスで充満させるタイプです。

 

こう言う溶接をされている現場ではヒュームが比較的多いです。

 

逆にヒュームが少ない溶接はTIG溶接です。

 

 

今回の法改正に伴い各種団体などで講習会が開かれていたりするので、受講された方がより理解し易いのではないでしょうか?

 

現状で私の調べた内容はこんな感じですが、各労基署の担当者で、若干の違いがあると思いますので、所轄の労基署に聞くのが一番良いでしょう。

 

まずは技能講習の受講が一番だと思います。

 

専任が必要ない場合でも取得して損はないはずです。

 

今受講すれば、溶接ヒュームについての説明もされるはずです。たぶん。

 

 

それでは、みなさんご安全に!