苦情を言われる場での対応術 | 55歳過ぎてもアメリカでIT企業のエンジニア・PMとして挑戦します

55歳過ぎてもアメリカでIT企業のエンジニア・PMとして挑戦します

一昔前なら定年を意識する年齢ですが、家族で夢をかなえるために2019年4月に渡米、現地のIT企業のソフトウェア開発部門のエンジニア・PM(プログラムマネージャー)として挑戦しています。

私は実は、英語でも日本語でも、「苦情」を言われるのが苦手です。_

もしも「お客様苦情受付センター」みたいなところでコールをとる仕事なんかしたら、一気に老けて病気になるのではないかと思います__

というか、誰でも「苦情」を言われるのは嫌なものだし、できることなら苦情を言われる機会は避けたいと思っているのが当たり前だと思っていました。

しかし、どうもそれは日本人独自の気質なのではないかと思えてきました。


というのも、我々のマネージャーたちは、苦情を言われる場に入ることを嫌がらないのはもちろん、

むしろ進んで入っていく感じでさえあるのですSurprise


今日も、我々のチームメンバーの一人が「他チームから『おたくのチームはいつもいつも、まともに期日までに完成品を提供してきたことがない。全く持って酷い。ちょっと今度、反省会みたいなことをやらないか』と言われています。つきましては、上司であるあなたにも参加してもらえませんか?」とMeetingの中でおっしゃって、

当然、その反省会は これでもかというくらい苦情を浴びせられると思いますOMG


私は、もしも私がその上司の立場だったら、正直嫌だなあと思いながらも渋い顔をしてイヤイヤ仕方なく承諾する、という感じだっただろうと思ったのですが_

実際には、その上司は瞬時に明るい声でYes, of course! Thank you!!」というように反応されまして、

下手をすればむしろ巻き込んでくれて嬉しいというくらいのトーンでしたSurprise

もちろんこれが初めてのことではなく、

思い返せばどんな時でも、彼女は 苦情をぶつけられる状況で矢面に立たされることに対してイヤそうなそぶりを見せたことはなく

むしろ、そう、進んでそういう状況に入り込んで、自らを真正面に立てて戦うのですSurprise

そして、相手側が感情的だったり、苛立ちをあらわにしているような状況でも、

常にロジカルな考え方で、双方にとって最善と思われる結論に持って行かれるので、

私は常々、なんという強靭な精神力と、強い意志と、そして頭の良さを持った人だろうと感心していました。


しかしながら、周囲を改めて見返してみると、

うちの会社でマネージャーをしている人たちや、プリンシパルPM(シニアレベルよりさらに上の、極上レベルのPM)の人たちは ほぼ例外なく、

苦情を沢山ぶつけられたり、その矢面に立たされたりすること自体、まるで呼吸することと同じくらい自然なこととして対応されているようにさえ見えますSurprise


そもそもアメリカの文化背景として、

何事も徹底的に話し合って、ちょっとでも腑に落ちなければ質問しまくって、交渉して交渉して、話して話して、ようやく結論にたどり着く、というプロセスが標準になっていると思うので、

交渉ごとや、苦情から始まるディスカッションは、特別なことではないという感覚なのかも知れません。


一方 日本の伝統的な文化では、

沢山交渉をしたり、質問しまくったりすることを どちらかというと悪しきとする傾向にあるような気がします。

思えば我々が子供だった頃に、「これはどう考えても明らかに不自然だ」と思うようなことを親や先生などに論理的視点から客観的に説明しようとしても、まあだいたい「口答えするな!」とか「生意気言うな!」とか怒鳴られて、まったく聞く耳を持ってもらえなかったことがほとんどだったと思います_

まあそういった背景から、どうしても「交渉術」がアメリカ人に比べて成長しにくく、率直な意見を言い合うといった環境に慣れにくい、ということとなってしまい、

結果 私のような腰の引けた人間ができてしまうのかも知れませんね_


ただ、そんなへっぴり腰の私でも、今の組織で日々 交渉事や苦情をぶつけられることに対応し続けてきたことで体で学習したコツみたいなものがあります。

それは、

1.相手の話を真摯に聞く
苦情を言ってくる人の話を聞くのは耳が痛いものだと思いますし_、多くの場合すでに承知している話だったりするかも知れませんが、
相手も「伝えたいことはすべて伝えた」ということで温度が下がり、次のステップに進みやすい状況を作れると思います。

2.こちらの状況を隠さず正確に説明する
現在起こっている状況や、現在どういう対応をしているのかなどを、隠すことなく(Be transparent)正確に伝えることで、
相手も今まで何も見えていなかったものが見えることとなり、「見えないことに対する不信感や不安」が多少なりとも和らぐ可能性があると思います。

3.現実に出来得ることを提案する
我々に今できる最善のことはこれです(This is what we can do right now」という形で、具体的なアクションプランを提案することで、その話し合いが建設的なものとなり、
また、ただ単に「とにかく最善を尽くします(will do our best anyway」と言うよりもその先の展開が良くなると思われます。

4.その後の進捗を報告をすることを約束する (will keep you posted
これも結局2.の「状況を隠さず説明する」と同じ意味合いのことになると思いますが、とにかく「見えない不安」を相手に抱かせないことが、その後を円滑にするカギになるかと思います。


ちなみに、「とにかく平謝りに謝る」という対応は、アメリカ文化ではあまり意味がないようです_

多分、「謝るよりも、状況を詳しく説明しろ!」と言われると思います。

・・などと偉そうに書いてしまいましたが、「明日のミーティングは多分言い争いになるから(The meeting we will do tomorrow will be a fighting」などと上司に言われると、心臓が縮み上がって血流が悪くなります。。_