さらに会社の状況は変化し、もはやPMやローカリゼーションも含めて、開発関係の仕事はほとんどすべてアメリカ本社へと移管され、この会社で日本で働くならば、セールス・サポート・マーケティング等のビジネス寄りの仕事へと転ずる以外にない状況となりました。
ちなみにうちの会社の場合、他部署へと異動したいのであれば、外部の方が入社試験を受けるのと同様、履歴書を書いて、面接試験などを受けて合格しなければなりません。
※もっともそれはほとんどの外資系企業で行われていることらしいので、うちの会社独自のプロセスというわけではないようです。
そして、まだまだこの会社で働きたいと思っていた私は、いよいよエンジニアでもなく、PMでもない、開発とは直接は関係のない、お客様サポート関係の部署で働く機会を得ました。
その新しい仕事は、直接お客様にお会いしたり、直接電話でお話したりすることはほとんどないものの、通常のサポートプロセスで解決に至らなかった問題や極めて影響の大きい重大な問題のみを取り扱うチームでした。
もともとビジネスのことが分かっていない状態で入ったため、慣れるまでは血反吐を吐くようなつらい日々でした。
また、求められる英語力のレベルも全く違っていました。
開発チームでは、多少英語がたどたどしくても、技術力があれば相手にしてもらえる世界だったと思いますが、ビジネス系の仕事となるとそうはいきませんでした。
しかもその新しい仕事は交渉力がものを言う世界であり、モタモタ話しているとすぐに遮られて言いくるめられてしまう状況でした。
さらにそのうち上司も日本人ではなくなり、しかも日本に住んでいない方だったため、すべてのチーム内コミュニケーションは英語のみになっていきました。
ただ、毎日その仕事をやっているうちに、だんだんとそういった重い問題に対する対応方法が見えてきました。
結局、どんなに問題が大きくとも、どんなにビジネスインパクトが大きくとも、重要なことはまず起こっている状況をすべてクリアにして整理し、何が本当の問題であるかを明確にすることが第一だと思います。
そして、解決方法については多くの場合2つ考えるべきだと思います。つまり、ひとつは応急処置的な解決方法、そしてもう一つは長期的にその問題の発生源を根本治療する方法です。
応急処置はできるだけ早く、そして根本治療は確実にじっくり行うプランを提案していくべきかと思います。
・・そんなの当たり前じゃないか、と思われる方も多いかと思いますが、私がそのチームでやってきた問題解決は、ほぼ全部上記の考え方に沿っています。
そして数年後、そのチームの中でも転機がありました。
今から3~4年前の話です。
それまでは、日々降りかかってくる難題に対応し続ける、いわゆるリアクティブ対応(受動的対応)だけをしていたチームから、より積極的に、問題が発生する前に予防するための活動をしていったり、会社全体で起こっている問題を包括的に取りまとめて対応案を関係者を収集して検討したりといったプロアクティブ対応(能動的対応)をするチームへと変わっていくことになりました。
そして私は、そういった新しい仕事を開拓したり、プロジェクト全体のマネージメントをしたりといったことをする職種へシフトすることになりました。
それに伴って、これまでとはまた違った英語力が求められることとなりました。
それまでは、問題解決に向けてのディスカッション、ネゴシエーションといったところが話の中心あり、ある程度のパターンも決まっていましたが、以後、アイデアを出し合って吟味したり創作的な議論をしたりといった、いわゆるブレーンストーミング的な話を深夜に電話でアメリカやヨーロッパの人達と行うことが多くなりました。
そうなると、頭の中では日本語で考えて、話す時だけ英語で話すといった形では通用しないことが多く、頭の中でウンウン考えていることもすべて英語一色でないとなかなかブレーンストーミングでは通用しませんでした。
そのような経緯から、いつの間にか完全な外資系ビジネスの世界の深いところで働く形になり、気が付いてみればもともと私がやりたかったエンジニアの仕事とは対極のところまで来てしまっていました。