湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科の医師、永田充です。

 

以前の記事で、

若年性大腸がんが世界的に増加傾向にあること

について解説しました。

 

なぜ若い世代の大腸がんが増えているのでしょうか。

 

その原因はまだ完全には分かっていませんが、近年、食生活の変化、肥満、運動不足など、様々な要因が関係している可能性が指摘されています。

 

今回は、その中でも

  • 飲酒
  • 喫煙

に注目した研究を紹介します。

 

※今回参考にしたのは、以下の論文です。

Associations of Alcohol Use and Smoking With Early-Onset Colorectal Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Clinical Colorectal Cancer. 2025.

 

 

若年性大腸がんと飲酒・喫煙を調べた研究

今回紹介する研究では、若年性大腸がんと飲酒・喫煙の関係について、

これまでに報告された複数の研究をまとめて解析しています。

 

若年性大腸がんは、一般的には50歳未満で診断された大腸がんを指すことも多いですが、

この研究では55歳以下で診断された大腸がんを対象としています。

 

飲酒について11件、喫煙について12件の研究が解析対象となり、その結果、

飲酒と喫煙はいずれも、若年性大腸がんのリスク上昇と関連している可能性が示されました。

 

飲酒は若年性大腸がんのリスクと関連する?

 

今回の解析では、飲酒は若年性大腸がんのリスク上昇と関連していました。

 

具体的には、飲酒がある人では、若年性大腸がんのリスクが約1.4倍高いという結果でした。

 

さらに、アルコールの摂取量が増えるほどリスクが上がる傾向も示されています。

 

ここで注意したいのは、

「お酒を飲むと必ず大腸がんになる」

という意味ではないことです。

 

また、

「お酒を飲まなければ絶対に大腸がんにならない」

という意味でもありません。

 

大腸がんの発生には、食生活、肥満、運動不足など、様々な要因が関係している可能性が指摘されています。

 

ただ、大腸がん予防という観点からは、飲酒量を見直すことには意味があると考えられます。

 

特に、毎日のように飲酒している方や、1回の飲酒量が多い方は、

「少し減らす」

「飲まない日を作る」

といった工夫も大切です。

 

喫煙も若年性大腸がんのリスクと関連する?

喫煙についても、若年性大腸がんのリスク上昇と関連していました。

 

今回の解析では、現在喫煙している人、または過去に喫煙していた人を合わせると、

若年性大腸がんのリスクが約1.4倍高い

という結果でした。

ただし、喫煙の分類によって結果には違いがあるため、今後さらに詳しい検討が必要です。

 

喫煙というと、肺がんのイメージが強いかもしれません。

 

しかし、喫煙は肺がんだけでなく、様々ながんの発生に関係している可能性が指摘されており、大腸がんもその一つです。

 

また、喫煙は心臓病や脳卒中などにも関係しているため、禁煙は重要です。

 

「生活習慣が原因」と決めつけないことも大切です

ここで注意したいのは、若年性大腸がんについて考えるとき、

「飲酒していたから」

「喫煙していたから」

「生活習慣が悪かったから」

と、単純に決めつけられないということです。

 

大腸がんの原因は一つではありません。

 

若くして大腸がんになる方の中には、遺伝的な要因や家族歴が関係している場合もあります。

一方で、明らかな家族歴がない方に発症することもあります。

 

また、飲酒も喫煙もしていない方に大腸がんが見つかることもあります。

 

つまり、今回の研究は、

飲酒や喫煙が若年性大腸がんのリスクと関係している可能性がある

ということを示したものであり、

「この生活習慣だけが原因です」

と断定するものではありません。

 

若い世代が知っておきたいこと

若い世代の方に知っておいてほしいのは、生活習慣を整えることと同時に、症状を放置しないことです。

 

たとえば、次のような症状がある場合には注意が必要です。

  • 血便がある
  • 便が細くなった
  • 下痢や便秘が続く
  • 腹痛やお腹の張りが続く
  • 体重が減ってきた
  • 血液検査で貧血を指摘された

このような症状がある場合、大腸カメラなどの検査を検討した方が良いことがあるため、一度、消化器内科で相談することをおすすめします。

 

 

大腸がんは、早い段階で見つかれば、条件によっては体への負担が比較的少ない内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などで治療できることがあります。

 

👉ESDに関して詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

 

まとめ

若年性大腸がんは、日本を含め、世界の複数の国や地域で増加傾向が報告されています。

 

今回紹介した研究では、飲酒と喫煙が、若年性大腸がんのリスク上昇と関連している可能性が示されました。

 

ただし、飲酒や喫煙だけで大腸がんの原因を説明できるわけではありません。

 

大腸がんの発生には、食生活、肥満、運動不足、遺伝的要因など、様々な要因が関係している可能性が指摘されています。

 

大切なのは、

  • できるところから生活習慣を見直す
  • 血便などの症状がある場合は医療機関で相談する

ということです。

 

※この記事は、病気や検査について一般的な情報を分かりやすくお伝えする目的で書いています。症状や検査の必要性は、年齢や体質、既往歴、家族歴などによって異なりますので、気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。

 

この記事を書いた人
永田充(消化器内視鏡専門医/湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科 部長)  
▶ 詳しいプロフィール・実績はこちら  

 

▶内視鏡治療や研究内容(Underwater ESDなど)については、専門家向けにnoteでも発信しています。

 

関連記事