湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科の医師、永田充です。
大腸がんというと、
「高齢の人に多い病気」
というイメージを持っている方が多いかもしれません。
しかし、最近、世界的に注目されているのが、
50歳未満で発症する大腸がんです。
医学的には、50歳未満で診断される大腸がんを
若年発症大腸がん(early-onset colorectal cancer)と呼ぶことがあります。
この記事では、分かりやすく若年性大腸がんと表現します。
今回は、世界50の国と地域のデータを解析した研究をもとに、
若年性大腸がんについて分かりやすく解説します。
※今回参考にしたのは、以下の論文です。
Colorectal cancer incidence trends in younger versus older adults: an analysis of population-based cancer registry data. Lancet Oncol 2025; 26: 51–63
若年性大腸がんは、世界的に増えているのか?
今回紹介する論文では、主に2017年までの世界50の国と地域のがん登録データを用いて、
・25〜49歳で診断された大腸がん
・50〜74歳で診断された大腸がん
の推移が比較されました。
その結果、
25〜49歳の大腸がんは50の国と地域のうち27で増加
していました。
つまり、若い世代の大腸がんの増加は、
一部の国だけで起きている特殊な現象ではなく、
複数の国や地域でみられている傾向と考えられます。
日本のデータでも、若い世代の大腸がんが増加傾向にあることが示されています。
ただし、増加傾向にあるとは言っても、「若い人に大腸がんが多い」という意味ではありません。大腸がんは、基本的には年齢とともに増える傾向がある病気です。
若い世代の方が、みんな大腸カメラを急いで受けなければならない、という話ではありません。
大切なのは、
「若いから大腸がんは絶対にない」と決めつけないこと
です。
特に、血便や便通異常などの症状が続く場合には、
年齢だけで判断せず、医療機関で相談することが大切です。
なぜ若い世代の大腸がんが増えているのか?
なぜ若い世代の大腸がんが増えているのかについては、
まだ完全には分かっていません。
ただ、いくつかの要因が関係している可能性があります。
たとえば、
- 食生活の変化(牛肉・豚肉などの赤肉や加工肉などの摂取増加)
- 運動不足
- 肥満
- 糖尿病やメタボリック症候群
- 飲酒
などが関係している可能性が指摘されています。
もちろん、これらがすべての原因というわけではありません。
若くして大腸がんになる方の中には、
遺伝的な要因や家族歴が関係している場合もあります。
一方で、明らかな家族歴がない方に発症することもあります。
そのため、
「家族に大腸がんの人がいないから大丈夫」
とも言い切れません。
大腸がんの早期発見のために知っておきたいこと
若い方に特に知っておいてほしいのは、
大腸がんで認められることがある症状です。
たとえば、次のような症状があります。
- 血便がある
- 便が細くなった
- 下痢や便秘が続く
- 腹痛やお腹の張りが続く
- 体重が減ってきた
- 血液検査で貧血を指摘された
このような症状がある場合、大腸カメラなどの検査を検討した方が良いことがあります。
一度、消化器内科で相談することをおすすめします。
特に、血便については、
「どうせ痔だろう」、「まだ若いから大腸がんは絶対にない」
と自己判断して長く放置しないことが大切です。
大腸がんは、早い段階で見つかれば、
条件によっては体への負担が比較的少ない内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などで治療できることがあります。
👉ESDに関して詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
まとめ
若い世代の大腸がんは、日本を含め世界の複数の国や地域で増加傾向が報告されています。
そのため、血便などの症状があった場合、
「痔が原因だろう」、「まだ若いから大腸がんの症状ではないだろう」と決めつけず、
症状が続く場合には医療機関で相談することが大切です。
※この記事は、病気や検査について一般的な情報を分かりやすくお伝えする目的で書いています。症状や検査の必要性は、年齢や体質、既往歴などによって異なりますので、気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
この記事を書いた人
永田充(消化器内視鏡専門医/湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科 部長)
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▶内視鏡治療や研究内容(Underwater ESDなど)については、専門家向けにnoteでも発信しています。



