湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科の医師、永田充です。

 

ピロリ菌は胃がんの原因として知られているため、

 

「ピロリ菌を除菌すればもう胃がんの心配はなくなった」

 

と思われる方は多いと思います。

 

結論から言うと、

 

ピロリ菌の除菌によって胃がんのリスクは下がりますが、ゼロになるわけではありません。

 

今回は、その理由を分かりやすく説明します。

 

 

ピロリ菌と胃がんの関係

ピロリ菌は、胃の中に長く感染することで慢性的な炎症を引き起こします。

 

この状態が続くと、

 

胃炎 → 胃粘膜の萎縮 → 胃がん

 

という流れで、胃がんが発生しやすくなります。

 

そのため、ピロリ菌は胃がんの大きな原因の一つと考えられています。

 

ピロリ菌の除菌をすると何が変わる?

では、ピロリ菌を除菌するとどうなるのでしょうか。

 

重要なのは、

 

胃がんのリスクはしっかり下がる

 

ということです。

 

実際に、複数の研究をまとめた報告(メタ解析)では、

 

ピロリ菌を除菌した人は、除菌していない人と比べて

 

胃がんの発生が約34%抑えられた

 

Ford AC, BMJ 2014

とされています。

 

※複数の臨床試験(ランダム化比較試験)をまとめた信頼性の高いデータです。

 

つまり、

 

ピロリ菌の除菌には、はっきりとした胃がんの予防効果がある

 

と考えられています。

 

除菌しても胃がんリスクがゼロにならない理由

ここが一番大事なポイントです。

 

ピロリ菌を除菌しても、

 

すでに起こってしまった胃の粘膜の変化は、

 

完全には元に戻らないことが多い

 

とされています。

 

特に、

 

・長年ピロリ菌に感染していた方
・胃の粘膜に「萎縮」と呼ばれる変化がある方

 

では、除菌後も一定の胃がんのリスクが残ると考えられています。

 

そのため、

 

「除菌=完全に安心」とは言い切れないのです。

 

定期的な胃カメラが大切

ピロリ菌除菌だけで胃がんのリスクがゼロになるとは言い切れないため、

 

胃カメラによる経過観察が大切になります。

 

胃カメラでは、

 

・胃がんの早期発見
・胃の粘膜の状態の確認

 

ができます。

 

特に、胃粘膜に萎縮がある方では、定期的なチェックが重要です。

 

胃がんを早期発見できれば、

 

体に負担の軽い内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で完治が期待できます。

 

除菌しても意味がない?

「ピロリ菌を除菌しても胃がんになるのなら、除菌しても意味がないのでは?」

 

そう感じる方もいるかもしれません。

 

しかし、それは違います。

 

ピロリ菌を除菌することで

 

・胃がんのリスクを下げる
・胃炎の進行を抑える

 

といった大きなメリットがあります。

 

まとめ

ピロリ菌を除菌すると、胃がんのリスクは下がります。

 

しかし、

 

・すでに起こった胃の粘膜の変化は残ることがある
・そのため胃がんのリスクはゼロにはならない

 

という点も重要です。

 

そのため、

 

ピロリ菌除菌後も定期的に胃カメラで経過観察をうけることが大切です。

 

胃がんを早期発見できれば、

体に負担の軽い内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で完治が期待できます。

 

気になる方は、胃カメラを受ける間隔などについて、主治医と相談してみてください。

 

※この記事は、病気や検査について一般的な情報を分かりやすくお伝えする目的で書いています。症状や検査の必要性は、年齢や体質、既往歴などによって異なりますので、気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。

 

この記事を書いた人  

永田充(消化器内視鏡専門医/湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科 部長)  
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