湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科の永田充です。
「ピロリ菌って、昔、流行った病気ですよね?」
外来でときどき聞かれる言葉です。
たしかに、感染している人は減っています。
でも、今も注意が必要な感染症です。
今日は、ピロリ菌について“いま大事なこと”を、分かりやすくまとめます。
ピロリ菌ってどんな菌?
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中にすみつく細菌です。
1980年代に発見され、胃がん、胃潰瘍などと関係していることが明らかになりました。
現在は、検査で見つけて、薬で治療できます。
どんな人が感染しているの?
ピロリ菌は、子どものころに家庭内で口から感染することが多いと考えられています(免疫が未成熟な時期に感染しやすい)。
1970年ごろまでに幼少期を過ごした世代では、感染率が高いことが分かっています。
つまり――
50代以上の方は、一度はチェックする意味があります。
一方で、若い世代でも感染していることはあります。
症状が乏しいため、気づかないことが多いのです。
ピロリ菌は胃がんのリスクになります
ピロリ菌に感染しても、ほとんど症状はありません。
ですが、感染が長く続くと、胃がんのリスクが高くなります。
日本人のデータでは、
感染している人のうち
・男性 約17%
・女性 約8%
が生涯で胃がんになる
(Kawai S, et al. Int J Cancer 2022)
と報告されています。
「ごく一部」ではありません。
だからこそ、早めに見つけて治療することが大切です。
どうやって調べるの?
検査にはいくつか方法があります。
・血液検査
・息の検査(尿素呼気試験)
・便の検査
・胃カメラ中の検査
血液検査は簡便ですが、「今も感染しているか」を正確に判断できないことがあります。
そのため、必要に応じて他の検査を組み合わせて判断します。
治療は大変?
治療は1週間ほど薬を飲む方法です。
現在は新しい胃酸抑制薬(P-CAB)の登場により、
1回目の治療で約90%が成功するといわれています。
以前より、かなり治りやすくなっています。
除菌できたら終わり?
治療後は、きちんと除菌できたかを検査で確認します。
また、すでに胃の粘膜の変化(萎縮など)が進んでいる場合は、
除菌後も胃がんリスクがゼロになるわけではありません。
そのため、定期的な胃カメラが大切です。
まとめ
ピロリ菌は
- 感染しても症状がないことが多い
- 放っておくと胃がんリスクが上がる
- 飲み薬で治療できる
検査で感染しているかどうかを知ることが、将来の胃がん予防につながります。
「自分は検査したことがあったかな?」と思った方は、
一度かかりつけ医に相談してみてください。
※この記事は、病気や検査について一般的な情報を分かりやすくお伝えする目的で書いています。症状や検査の必要性は、年齢や体質、既往歴などによって異なりますので、気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
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