まず最初に
湘南藤沢徳洲会病院 内視鏡内科の永田充です。
日本では、今も胃がんで亡くなる方が少なくありません。
国立がん研究センター「がん情報サービス」によると、がん死亡数(2024年)は男性で胃がんが第3位、女性で第5位でした。
私は普段、胃がんの内視鏡治療も行っていますが、いつも思うのは
「早い段階で見つけられるかどうか」が本当に大事、ということです。
早く見つかれば、条件が合えばおなかを切らずに内視鏡治療で治せる可能性も高くなります。
逆に、見つかるのが遅れると、転移などで治療が大変になり、命に関わることもあります。
今回は、
「胃がんではどんな症状が起きるの?」
「そもそも、初期はなんで症状が出にくいの?」
を、できるだけ分かりやすくまとめます。
胃がんは、初期ほど“気づきにくい”
結論から言うと、胃がんは初期のうちは、ほとんど自覚症状がありません。
気づかないうちに少しずつ大きくなって、深く進んでいきます。
そして「なんか変だな」と症状が出てくる頃には、病気がある程度進んでいることがあります。
だからこそ、症状が出てから検査だと、早期発見はどうしても難しくなります。
「早期」と「進行」って何が違うの?
違いはシンプルで、がんの深さです。
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早期胃がん:表面(粘膜〜粘膜下層)まで
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進行胃がん:がんが胃の筋肉の層(筋層)に達する、またはそれより深く入り込んでいる状態
早期胃がんは時間とともに、少しずつ進行胃がんへ移行します。
でもその間も、症状がほとんど出ないことが多いのがやっかいなところです。
進行すると、こんな症状が出てくることがある
進行胃がんになると、主に次のようなことが起きます。
胃の出口が狭くなる(食べ物が通りにくい)
胃の出口(幽門)はもともと細い構造です。
その近くにがんができると、さらに狭くなって食べ物が流れにくくなります。
すると…
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おなかが張る
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みぞおちが痛い・重い
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食後に吐いてしまう
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食欲が落ちる、体重が減る
といった症状につながります。
潰瘍ができて、痛みが出ることも
がんが潰瘍を作るくらいになると、
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みぞおちの痛み
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不快感、違和感
が出やすくなります。
ただし、ここまで進んでもあまり症状がない方もいます。
(「痛くない=大丈夫」とは言い切れません)
じわじわ出血して、貧血になる
がんは刺激で出血することがあり、じわじわ続くと貧血になります。
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疲れやすい
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動悸、息切れ
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めまい
さらに、胃の中で出た血は消化され、
- 黒い便
として出てくることがあります。
大量に出血すると
- 吐血
することもあります。
転移すると、別の症状が出てくる
進行すると、血管やリンパ管を通じて転移することがあります。
他の臓器に転移すると、その臓器の働きが低下し、場所に応じた症状が出てきます。
例としては
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肝臓 → 倦怠感、食欲不振、腹水、黄疸など
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骨 → 痛み、しびれ
などです。
転移はCTやエコーなどで調べることができます。
胃がんを見つける検査は?
胃がんを見つける代表的な検査は
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胃カメラ
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バリウム検査
です。
おすすめは、基本的に胃カメラです。
粘膜を直接見られるので小さながんを見つけやすく、その場で組織を取って検査(生検)もできます。
バリウムで異常があると、結局胃カメラで再検査になることも多いので、
最初から胃カメラを選ぶ方がスムーズなことが多いです。
「胃カメラってつらそう…」と思う方も多いですが、
最近は
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鎮静剤を使う
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鼻から入れる細いカメラ
などで、昔より楽に受けられるケースが増えています。
まとめ
まとめると、
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胃がんは初期にはほとんど症状がない
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症状が出たときには、進行していることがある
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だからこそ、症状がなくても定期的な胃カメラが大切
ということになります。
特に、胃がんの多くはピロリ菌が関係しています。
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ピロリ菌がいる方
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除菌治療を受けた方
は、年1回くらいの胃カメラを目安に考えておくと安心です。
※この記事は、病気や検査について一般的な情報を分かりやすくお伝えする目的で書いています。症状や検査の必要性は、年齢や体質、既往歴などによって異なりますので、気になる症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。