「誰も守ってくれない」を見た、映画として悪くはない、が、観客を考えさせたり泣かすことのできる映画ではない、テレビの匂いはどうしても払拭できていない、映画的な情緒やカタルシスがあまりなかった…残念…
自分の作品に出てくれている平手舞ちゃんが可愛らしいレポーターやってたのと(予告でも声が目立つ)津田さんがいきなり嫌な刑事で現れたので個人的にウケて見入った。津田さんを見てキャリアだからいいのかもしれないけどドスがない刑事だなぁ…いい人な感じがどうしても出てしまう津田さんのあの感じでよかったのか考えながら見てしまった…
案の定、リベラの「You Were There」を何回も使用していた、オープニングの無音に少女の日常に忍びよる悲劇のモンタージュのところだけ効果的な曲の使い方だった、なんでラストシーンで使用しなかったのかやや不満だった(ベタなんだからベタでいいのに)、黒みバックのエンドロールの曲ではないだろ…、頭と最後は台詞なしで主題歌がかかり、モンタージュにして東京に帰る(現実の戦場に向う)少女とその様子を見守る刑事でいいんじゃないか…長回しくらいがいい気もした、あっけないしっくりこない終わり方は効果的でなかった気がする。辛い現実があっても生きてゆくしかない人間の一人である刑事が娘にプレゼントを渡すと電話して自分の日常に帰るというイメージを狙ってたんだろうが、かっこよくない、ガツンとくる効果がある社会派のシニカルさもない、ただ観客を突き放しただけになってた気がする、「砂の器」や「刑事物語」や「刑事ジョンブック目撃者」なんかの方がやっぱうまいなぁ…やはりテレビの脚本家だから狂言まわし的に喋らせすぎでなんかもったいなかった…ややトゥーマッチだったが、今の観客は説明があった方がいいんだろうなぁ…台詞にあ
まりリアリティがないし、役者がうまかったに過ぎない気がするところが多々あった。わかりやすさ、キャラクターの色分け、はハッキリし過ぎるくらいベタの方が今はやはりよいのかなぁ…今の大多数の観客はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウの「21グラム」や「バベル」なんかは退屈なんだろうなぁ…
とにかく、台詞で説明するんじゃなくて、もっと情緒感があったら「誰も守ってくれない」は更によかった筈…映画なんだからもっと装飾してかっこつけるところはかっこつけた方が引き締まるのに…そうすれば主題歌「You Were There」がもっと引立った筈…
海が出て来て、心底傷付いた少女を更に厳しい現実の戦線に送り出さないとならない刑事の話で泣けないのがおかしい…
志田未来も十分にあどけなく、イノセントでいいのに、か弱い者を一人で厳しすぎる現実へ送り出さないといけない辛さが感じれなかった、母親の遺体との面会する痛いシーンもあるのかと思ったらなかった、みんなある種RPGのコマになりすぎてる気もした。痛さもなく、まぁそんな感じなのね…で終わってしまった。
予告映像やオープニングの雰囲気からはラストは観客がみんな号泣かと思ったら実際劇場では誰も泣いてくれない、状態だった、力のある役者の力強く語る場面、人情味ある柳葉トークやしっかり喋るやや大根の佐藤浩市の安定したトークは確かに一瞬泣かされそうになる、が、全体的に物足りないんだよなぁ…
なんであんな痛い題材を扱っているのにどうしようもない痛さがないんだろうと最後まで疑問だった。
自分だったら家族にもっと目がいくし裏切る彼氏やその仲間も得体の知れない現代っ子やオタクで片付けない。ストレスのはけ口を「攻めていい」弱者に向ける狂気をもう少し描くな、そうすることでより海で佐藤浩市が志田未来を諭す場面が生きてくると思う。人間の弱さや現代社会の病んだ部分を暗喩表現であってもわかりやすく表現できた筈、それとあんなに15歳の女の子が強いか疑問だったし、なんか映画を早く飽きさせず終わらせる為に纏めたようにも思えてしまう節があった。まことに惜しい…
よかった部分もあったがやはりテレビ的なざっくりとした描写力の希薄な映画ではあった。
でも奇を衒った気はするが視点はすごくいいと思う。モントリオールで脚本賞なのはわかる。
作品賞、監督賞とは無縁の作品だなぁ…
予告篇で期待し過ぎた…