勝負の分かれ目。
それは6回裏の攻撃だろう。
ノーアウト1、2塁で福留が2点タイムリー二塁打で同点とした。
尚もノーアウト二塁という状況で打席には良太。
ベンチからの指示はおそらく右打ちだっただろう。
セオリーとしては間違っていない選択だ。
良太も必死に右に打とうという意識は見えた。
しかし、選手の特性を首脳陣は分かっていなかった。
良太はテイクバックを小さく、足を上げず、右に打とう右に打とうという意識が強すぎるあまりにバッティングとは言えないモノになってしまっていた。
三振するのは目に見えていたし、誰の目からもインコースは打てないと判りきっていた。
やりたい事は十分に分かる。
ただ人選を間違えてはいけない。
バントにしろ、小技が出来る選手と出来ない選手。
良太は明らかに後者。
そんな選手に右打ちの指示を出しても決まる確率は格段に下がる。
だったら強行で打たせ、ヒットになればチャンスが拡大するわけだし、失敗するよりはチームに与える影響も少ない。
選手も個々の状態を上げていく事は当然の事だが、首脳陣も作戦面、選手の特性、勝負感を研ぎ澄ませる必要が大いにある。
点は取れている。
打線に粘りが出てきたのは確かだが、選手個人が状況に応じて自分で考えてプレーしなくてはならない。
最低でも進塁打を打たなくてはいけない場面なのか、普通に打つ場面なのか。
走塁でも次の塁を奪える打球なのか、そうではない打球なのか。
選手が状況に応じて判断し、考えてプレーしなくてはいつまで経っても進化はしない。