二足の草鞋 -23ページ目

孤独な道標 【第十三章】~異動~

【第十三章】
≪異動≫

あまりにも突然のことだった。週末の金曜日、上司から突然、地方への転勤命令を告げられた。その日の内に警察からも連絡があり、公安委員会に担当が変わった旨の知らせがあった矢先の事だった。公安委員会が俺の会社に内容証明でストーカー規制法に則り禁止命令を提出したのが主な理由であることは明らかだった。

所詮、会社なんてやっかいな社員は地方に飛ばし、会社に行くことが嫌になった俺が自己退社してくれればありがたいと思っているのだろう。

だが、俺には母さんのことがある。今、俺が会社を辞めると実家に生活費を納めることが出来なくなってしまう。そして、姉さんにも負担をかけてしまいかねない。

公安委員会は実家にも姉さんにも連絡をしている。俺がみるくにしていた行為は全て家族に知られ「淳介。もう、みるくさんのことは忘れなさい。」と姉さんにきつく叱られてしまった。

ブログを閉鎖しなさいと公安が俺に命令をするので、大人しく指示に従った。会社の異動も素直に受け入れた。
しかし、俺はみるくのことを諦めたワケではない。今も変わらずみるくを想い、愛している。
ブログはまた新しく始めればいい。今度は当たり障りのない自分の日常を綴り、みるくに読んでもらえばいい。そうすることによって、雑魚も騒がないだろうからな。

地方に行くことは正直辛かった。しかし、みるくに会うのが出来ない事ではない。必ず再びみるくの前に姿を出し、雑魚からみるくを奪う。
日本は狭い国だから、半日あれば、東京に来ることなど容易い。少々お金はかかるが、そんなものは関係なかった。
ただ、みるくに会いたいという想いでここまで行動しているに過ぎない。

地方の職場に異動した日、各担当部署への挨拶回りをした。最後に挨拶へ行った総務部で俺を見ているメスがいた。
一目見て「パス」だった。年上で傲慢そうで、自己中心的そうな印象だ。人間は同じ性格の人間を嫌う傾向があると誰かが言っていたのを思い出した。
俺は本来、自己中心的で、傲慢な人間なのは認める。ただ、それを知るのはみるくだけだった。
周囲には本来の姿を見せることは殆どない。少しでも心を許してしまうと大体の人間が離れていった。
いつも俺から人間が離れていく。唯一離れなかったみるくが俺にとって最も大切な人。そして奴隷だ。

何があっても俺はみるくを諦めることはない。

みるくが俺の孤独を忘れさせ「幸福」という道を歩ませてくれたのだから・・・。