ポリャンスキー&九響、牛田智大:ラフマニノフ:パガ狂、交響曲第2番(定期演奏会) | Wunderbar ! なまいにち

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まだまだひよっこですがクラシック大好きです。知識は浅いがいいたか放題・・・!?

2023. 11. 9 (木) 19 : 00 ~  福岡シンフォニーホールにて

 

<第417回 定期演奏会>

~巨匠ポリャンスキー 至高のラフマニノフ~

 

ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43

(ソリストアンコール)

シューマン:「子供の情景」Op.15より 第7曲「トロイメライ」

 

ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 Op.27

 

 

ピアノ:牛田智大

指揮:ヴァレリー・ポリャンスキー

九州交響楽団

(コンサートマスター:扇谷泰朋)

 

  

 

ポリャンスキー氏、九響と3度目の共演。

 

1回目は2019年12月下差し この時がポリャンスキー氏は国内オケ初登場だった。

 

2度目は今年の2月の「名曲午後」シリーズ下差し ロシアがウクライナ侵攻を開始して1年が経った直後の公演。

 

 

先日九響の来シーズンのプログラムが発表されたが、その中にポリャンスキー氏のお名前はなかった。新体制になるしロシアの事情もあるし、次回ポリャンスキー氏のお姿を拝見できるのはいつになるか分からないので、もしかしたら最後からもしれない、という複雑な気持ちで聴いた。

 

今回の公演前の予習として参加した「九響おんがくアカデミー」の内容はコチラ下差し

 

 

月刊「九響」の高坂葉月氏による楽曲解説はコチラ

 

今回は前半も後半もラフマニノフ。

前半は「パガニーニの主題による狂詩曲」(以下パガ狂)。

ソリストは牛田智大さん。映像では何度も拝見したことがあるが、実演を聴くのは初めてだった。ステージに出てこられた牛田さん、ほ、細っっ!ハッ

私がこの曲を聴くのはたぶん3度目(九響では2度目)かな?

冒頭からオケとピアノの分厚い音にびっくりした。

ここからは個人的な主観で書いてる感想です。私は専門家でもなんでもないので批判したいわけでもありませんのであしからず。

牛田さんの強音は叩きつけるような感じでなにか怒りをぶつけるような、(言葉は悪いけど)暴力的な感じに思えるくらい。その音色はすごく硬い感じがして、それは高音や弱音でも同じ印象だった。終始鍵盤にやや顔を近づけて弾いていてオケの方を全然向かず。(配信でも視聴したがたまに指揮者の方をちらと見るくらいだったかな~)オケもすごく鳴らしていたので、なんだろ、協奏曲というより競争曲かのような、ピアノとオケが闘ってるかのような印象だった。

速弾きする聴かせどころの箇所も厳しくいえば指がまめってないところも時々あったような。

 

正直なことをいえば、すごい演奏だな~とは思ったがあまり好みではなかった(まったくえらそーですみません)。

曲は違うけど、つい先日横山幸雄さんでラフマの2番を聴いたが、ピアノとオケがとてもいい具合にブレンドしていて、私自身はピアノもオケもこっちの方が好きだった。比較してはいけないけど、おんなじピアノでも音色が全然違ってた。個人的には横山さんの音色の方が好きだった(ちなみに私はどちらのファンでもない)。

牛田さん、なにかイメージ脱却を目指しているのだろうか。今ちょうど試行錯誤されてるのかな。同じ強い打鍵でもどうしてあんな弾き方をされるのだろう。 アーカイブ配信も視聴したが、演奏が終わっても少し微笑む程度で表情が硬いのがすごく気になった。いつもそんな表情なのかもだが、お疲れはたまってないのかな? 今後もいっぱいスケジュールが入ってるみたいだけど、精神的なものはだいじょぶなんだろうか。余計なお世話ながらなんだか色々気になった。

私なんぞがいうのもおこがましいけど、時には休息しつつ、ピアノ以外のことも楽しみつつ、人生を謳歌して追い詰められないようにしてほしい(追い詰められたりはないんでしょうけどまったくの当て推量ですみません💦)。 まだまだお若いので次に聴いたときはきっとまた全然イメージが変わりそうな気がする。次の機会を楽しみにしています。

 

(画像は九響の公式ツイッターよりお借りしました)

 

 

 

 

後半は「交響曲第2番」

これ聴くの3度目くらいかな?フェドセーエフ指揮のTSOやアシュケナージ指揮のアイスランド響で聴いたと思う。

個人的にはなんとなくこの曲好きになれなくて、長いな~というイメージだったのだが、この日の演奏で初めてこの曲いいなと思えたにやり

長いこの曲もあっという間に終わってしまった感じ。

ポリャンスキー氏はオケを随所でめちゃめちゃ鳴らしていた。 ロシアのオケといえば金管が咆哮するイメージがあるけど、この日は管というより弦をとても鳴らしていたように思えた。

その中でも低弦、チェロやコントラバスがすごく響いていた。

 

これも私の思い込みだが、ポリャンスキー氏が初めて九響を振った2019年12月の「くるみ割り人形」、この時まではコントラバスの響きがいまひとつという印象だったが、この時以来すごく響くようになったと勝手に思っている。コントラバス奏者のメンバーはだいぶ入れ替わってはいるものの、響き具合はあれ以来ずっといい気がしている(ま、勝手な思い込みですけどねw)

第1楽章の最後の最後、コントラバスがボンっ!と鳴らすのがとても印象的だった。

 

この演奏、あとでSNSを拝見したら賛否両論あったみたいですけど、私がとにかく驚いたというか感銘を受けたことがふたつ。

ひとつは、九響ってね、指揮者によってこんなに出す音色とか全体の響きが変わるんだ~ということ。 このちょっと前に横山さんのコンツェルトで九響を聴いたばっかりだったので、余計にその音色の違いがわかってとても興味深かった。 いつも思うけど指揮者によって全然変わる。まるでカメレオンオケみたい指差し

もひとつは、指揮者とオケが一体となっていたこと。特に最終楽章なんかは、団員さんがマエストロのために「やったろ~!」みたいな気概がひしひしと伝わってきてほんとに感動的だった。全体が火の玉メラメラ みたくなってました。こんなのなかなか感じることはできないと思う。

否定的な感想の方々、これはラフマじゃないとかなんとか書いてあるのを見たが、”ラフマはこうあるべき”的な先入観を捨てて純粋に指揮者とオケの一体感とか丁々発止のやり取り、緊迫感みたいなのを感じていただきたかったな~にやり 生の音楽ってそれが面白いのに。

 

ポリャンスキー氏はいつもと同じく指揮台なし(ゲルギエフと同じですね)、時々足をドン!と鳴らしたりしてた。指揮するときはメガネをかけていた。

配信を観てたら指揮台に置いてある楽譜がとても使いこんでるんだろう、黄ばんでいた。

 

そして前回もそうだが、拍手に応えるときの表情がもうなんともいえないのだ。

熱烈な拍手の中なのになんとなく悲しそうな、泣きそうな表情。このときだけはいつもの強面じゃなくて子どものような表情にみえる。

これも勝手な推測だけど彼も思うところがいっぱいあるんだと思う。

 

来シーズンは彼の登壇はない。ミュージックアドバイザーもできてもう二度と呼ばれないかもしれない。呼ばれるとしてもそのときの世界情勢がどうなってるかわからない。

彼もフェドセーエフもゲルギエフも先日天に召されたテミルカーノフも自分のオケを守らないといけない立場にあるので、単純に政権を批判できるわけではない。

ただただマエストロのご健康を祈っている。

 

マエストロ、来日したときの写真

(テンポプリモの公式ツイッターよりお借りしました)

 

 

(画像は九響の公式ツイッターよりお借りしました)