2015.5.13 19:00~ ビーコンプラザ・フィルハーモニアホール(別府市)にて
J.S. バッハ:2声のインヴェンション (ヴァイオリンとチェロ編)より
第1番 ハ長調 BWV 772
第2番 ハ短調 BWV 773
第4番 ニ短調 BWV 775
第7番 ホ短調 BWV 778
第8番 ヘ長調 BWV 779
第9番 ヘ短調 BWV 780
第11番 ト長調 BWV 782
第13番 イ短調 BWV 784
D. ショスターコヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 Op.40
D. ショスターコヴィチ:ピアノ三重奏曲 第2番 ホ短調 Op.67
(アンコール)
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調 「街の灯」 Op.11より 第2楽章 アダージョ
クライスラー:愛の悲しみ
ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ Op.3
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 Op.49より 第2楽章 アンダンテ・コン・モート・トランクィロ
マルタ・アルゲリッチ (Pf)、サーシャ・マイスキー(Vn)、ミッシャ・マイスキー (Vc)
ベスト・オブ・ベストシリーズ Vol. 3 と題したアルゲリッチの室内楽コンサート。
今年は「世代をつなぐもの~受け継がれる魂」をテーマにマイスキー父子の共演が目玉となっていた。
私はビーコン・プラザに行ったのは初めて。
開場前から大賑わい 音符のバルーンがなんか手作りの飾り付け感あるなあ
ホールの内部はオペラハウスのようになっていた。
私は2階席だったけど3列しかなくて段差もあるからよく見えた
さて1曲目はバッハのインヴェンションからの抜粋で、サーシャとミッシャのマイスキー父子が登場した。
私はおふたりとも演奏に接するのは初めて。
ところでこのインヴェンション・・・私には嫌な思い出しかない・・・
大昔ピアノを習っていた頃にこのインヴェンションで嫌というほど苦労したからだ
1曲仕上げるのにどんだけかかったか・・・何度楽譜で思いっきり頭殴られたか・・・
もうトラウマでしかないので、どの曲聴いてもそのときの思い出がまざまざとよみがえってしまう。 だからインヴェンションに関しては今回予習聴きをしなかった。
第1番から演奏が始まった時、そのトラウマがやっぱり蘇ってきてうーんとなってしまったが、聴いていくうちにそれも忘れて次第にただただ引き込まれてしまった。
「ほんとはこの曲好きだったんだよなー」とか、「やっぱりこの曲はいいなー」とかポジティブな思いになった 今回トラウマを少しは克服できてよかった
2曲目はアルゲリッチとミッシャのデュオでショスタコのチェロ・ソナタ。
アルゲリッチはいつものように全身黒いドレスだが、大きな白い花柄の透ける素材の黒いうすい上着をはおっていてそれがとってもチャーミングだった。
このふたりでのショスタコのチェロ・ソナタはCDも出ている。
- イン・コンサート/ユニバーサル ミュージック クラシック
- これは2003年4月のブリュッセルでのライブ盤。
私もこれを主に聴き込んで行った。
昨年もそうだったのだけど、私は生アルゲリッチの最初のピアノの一音でもうノックアウト
なんて澄んだ美しい音なんでしょう。
CDにしろ生にしろピアノの音自体の美しさに感動することは私自身はそう頻繁にはないのですが、アルゲリッチはそのひとりなのです
アルゲリッチのピアノとミッシャのチェロがお互いぐいぐいと共鳴し合う感じで、12年前のライブに全くひけをとらない素晴らしい演奏だった。
休憩をはさんで、後半はショスタコのピアノ三重奏曲第2番。
実はこの演目は当日発表、となっていてピアノ三重奏曲ということしかわかっていなかった。
なので、私はピアノのトリオの曲をめぼしをつけて色々と聴きまくったのだった
ベートーヴェンやブラームスはアルゲリッチのことだから多分ないだろうから、同じショスタコか、シューマン?メンデルスゾーン??
で、当日会場で「ショスタコのピアノトリオ」と見たときは内心ガッツポーズ
ショスタコのピアノトリオもアルゲリッチ、マイスキー、クレーメルのライブCDが出ている。- ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲/ユニバーサル ミュージック クラシック
- これ1998年5月の東京のすみだトリフォニー・ホールのライブ録音なのですが、ショスタコとチャイコフスキーのピアノトリオがとても素晴らしいのです。
今回はヴァイオリンはサーシャだったのだが、これまたCDと遜色ない名演でした
この曲はショスタコーヴィチの親しい友人であり音楽評論家・音楽学者だったイヴァン・イヴァノヴィチ・ソレルチンスキーが42歳で急死した直後に作曲されたそうだ。
良き理解者だったソレルチンスキーの死を悼む悲痛さがよく表れていて、チェロ・ソナタもそうだけど「ショスタコ節」(といったらいいのか)全開の名曲だと思う。
ただひとつ残念だったのが、最後消え入るように終わっていく直前にKYなおじさんの「ぶえっくしょい!!」というくしゃみがホール全体に響きわたった。
くしゃみはしょうがないけどさ、ハンカチあてて響かないようにするとかできないんかな?
アンコールは結局なんと4曲もあった
アンコールのカーテンコールのときに最前列に座っていたお客さんたちが、「Welcome to Beppu」と書かれた横断幕を持ってたり、関係者の方も「Gracias, President Argerich !」と書かれた横断幕を持ってたりして、アルゲリッチもとっても嬉しそうだった
2曲目のクライスラーのときは、ミッシャが譜めくりを、3曲目のショパンのときはサーシャが譜めくりをしていた。
特にショパンはアルゲリッチのピアノが炸裂したので、終わった瞬間に1階席ほぼ全員が立ち上がってスタンディングオベーションだった! じわじわ立っていくのはよくあるけど、一瞬でほぼ全員が立つだなんて私は初めて見た
そして最後はラッキーなことに聴き込んでいたメンデルスゾーンのピアノトリオ第1番。
3人それぞれショスタコのときと、ロマン派のときと音色が全然違うんです。本当にすごい。
アルゲリッチは今年74歳。ミッシャ・マイスキーは67歳。
ふたりとも髪は白髪だし外見は年取ってきたかもしれないが、いったん演奏に入ると全然年を感じない。むしろ若い。
アルゲリッチはショパンコンクールで優勝して今年が50周年らしいが、ほとんど衰えが感じられない。 普段から相当練習もしているのだろうが、すごいとしかいいようがない。
アルゲリッチがとっても上機嫌だったので、このままの御機嫌が続けばいいなあと思っていた・・・ (ふくみありあり)
昨年は終電の関係でアンコールを最後まで聴けなかったので、今年は別府に1泊することにしていたのだが、終演が9時半過ぎていたので正解だった~♪
ホテルに帰って酒とつまみを食べて温泉に入り・・至福のときでした~
翌朝ホテルの窓(窓のよけいな線が入ってしまった)から撮ったビーコン・プラザのタワー。 - 手前の森みたいなのはでっかい別府公園です。
別府よかったなあ 来年もまた行きたい。
- ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番、チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲/ユニバーサル ミュージック クラシック