『紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


​『紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪』
歌田 年、宝島社文庫、2023年




とある放火殺人事件の捜査協力のため、紙鑑定士の渡部を訪ねてきた刑事。そこには〝コスプレ趣味〟が関わっており、渡部は前回の事件同様にプラモデル造形家の土生井はぶいの知恵を借りることにするが。(表題作)


野良猫の虐待事件と現場に落ちていた猫の毛と血が着いた石粉粘土。フィギュア原型師・團だんが納品した家に多く置いてある同じ巻数の漫画本と心を閉した少年の想い。


触るだけでどんな紙も識別できる男・渡部が、紙に関わる奇妙な事件・トラブルを、土生井や團とも協力しながら解決していく。



   



シリーズ第2弾。今回は連作集です。


今回も紙にまつわる蘊蓄が盛りだくさん。紙におけるパルプ繊維とか、印刷のときの色の出し方とか、紙カッターとか。紙もとうぜん科学の結晶ですから、なかなか勉強になります。
これらの知識についても強引にねじ込んでくるわけではなく、出来事の流れで説明することが多いので、そこまで違和感はないですねぇ。

まあ、名探偵モノってわけではないので、快刀乱麻を断つ名推理ってわけではありませんが、土生井や團といった濃いキャラたちと共に渡部が解決に向かっていきます。