『掟上今日子の挑戦状』
西尾 維新、講談社文庫、2019年
「仰ってません。だって、まったく覚えがありませんもん」
自身のアリバイ作りのために、誰かに記憶されるため男がカフェで声をかけたのは、眠る度に記憶がリセットされてしまう忘却探偵・今日子さんだった。事件発覚後、今日子さんの記憶はリセットされていて男のアリバイは不完全なものに。果たして男の目論見は果たされるのか。(『第一章 掟上今日子のアリバイ証言』)
アパレルショップのフィッティングルームの中という危うい密室。死者が残すダイイングメッセージの使い方。今日子さんが3つの謎を解く。
忘却探偵シリーズ第3弾。
今回は警察との絡みが描かれています。よくある名探偵のように警察からもお声がかかる今日子さん。まあ、その警察からもガッツリ料金その他経費をせしめる今日子さんマジパネェす。
今日子さんをアリバイ工作に利用してしまったばっかりに不完全なものになってしまった男。試着室の中という、あまりにも異質な密室殺人。死者の残したダイイングメッセージの謎を解きたい犯人。今回もバラエティ豊かな事件です。
そんな今日子さんは、あえて一度寝ることで記憶をリセットし、余計な感情を削ぎ取った上で推理し直すという荒技も披露。自分の個性を使いこなしていますね。
そして消費税10%になったことを覚えてなかったり、「Wi-Fi」などの単語も知らなかった今日子さん。彼女が記憶を保てなくなった時期が今後も少しずつ判明していくのでしょうか。