『戦後経済史は嘘ばかり』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


​『戦後経済史は嘘ばかり』
高橋 洋一、PHP新書、2016年



戦後の高度経済成長という「奇跡」。平成のバブル崩壊からの「失われた二十年」。

間違った経済常識や単なる思い込みが流布されていて、「高度経済成長は通産省おかげ」「1ドル=360円時代は為替に介入していない」「狂乱物価の原因は石油ショックだった」などなどを本書で詳しく述べられています。



高度経済成長を支えたのは1ドル=360円という圧倒的有利な為替レートによるものだし、360円の相場を維持するためにはむしろ介入し続けるしかないし(自動的に為替は決まらないから手動でドル買い介入が必要)、バブル期の物価上昇率は0.1〜3.1%で、株式と土地などが異様に高騰していた。



この「間違った経済常識」が「失われた二十年」を生んでしまう。政府や日銀、マスコミなんかも誤解を正していかなければならないということですね。

高橋氏は恣意的な見方をせずに、原則に基づいて数値で分析するので予測が当たる確率が高いといいます。状況分析は「べきだ」ではなく「はずだ」の視点で行なうと、きっと〝物事の核心〟がくっきり見えてくるとのこと。まあ、数字を見るのに主観的な感情論とかじゃダメだってことですよね。



あとは自由貿易は戦争を「抑止」するものだから、止めるべきではないという話。2001年に出版された『Triangulating Peace』には、国際平和の5要件と戦争のリスクの減少の関係が示されているとのことですし、「終身雇用は日本型の雇用制度」も大きなウソ。まあ、これは人手不足からの囲い込みってことですもんね。



てな具合に、戦後の経済史をデータや理論をもって解説されています。