『天皇は「元首」である』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。

​『天皇は「元首」である』
竹田恒泰、産経新聞出版、2019年




上皇陛下の譲位、今上陛下の即位に関して、歴史上の習慣が限度を超えて捻じ曲げられた所が随所にあり後世の洗礼にできない点が散見される、というのが竹田さんの見解ですね。3割程度は反皇室勢力に明け渡してしまった領域があるということで、「譲位」とすべきを「退位」と「即位」に分離され三種の神器の渡御とぎょの意味合いを隠された、新元号が代替わり前に発表された、本来は略称である「上皇」が正式名称にされた等々。



あとは皇室や皇位継承などの基本的な事柄を分かりやすく解説されています。

三種の神器は正統な人が正統な時期に正統な方法によって継承され、それが神と社会によって承認されなければならず、それを担保するのか数々の皇位継承儀式。

そもそも「政教分離」とは昭和52年7月13日の最高裁判決で示された「目的効果基準」によって判断され。日本国憲法が祭り主である天皇を残した以上、祈る天皇は合憲であり、その前提としての祭祀も合憲。そして天皇に個人的収入を認めないのだから祭祀に税金が投入されるのも当然。嫌なら憲法を改正して天皇の副業や寄付を認めるしかない。



ほかには、あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」での昭和天皇の御真影を焼いて踏みつけた一件について。平成28年3月7日に国連女子差別撤廃委員会が男系継承になんか言ってきたこと。皇室への敬語の使い方。

元号を西暦と併用する煩雑さを訴える層には、漢字で音と訓、平仮名とカタカナを使っているわけだし、西洋と日本の両方の時間軸を持っているので実は合理的とのこと。まあ、スマホのアプリ使えば数秒で西暦と和暦を変換もできるしなぁ。



最後は戦後の教科書のことにも触れていて、全体的には中級者向けの内容かなとも思いますが、良き一冊です。