『殿下とともに』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


『殿下とともに』
浜尾 実、角川文庫、2020年




著者の浜尾氏は昭和26年(1951)〜昭和46年(1971)まで仕えた方。本書は平成5年(1993)に今上陛下と皇后陛下のご成婚を期に発刊された単行本の文庫版だそうです。

その浜尾氏は、昭和36年5月、現在の上皇上皇后両陛下からの命にて、1歳3ヶ月だった浩宮殿下(現在の今上陛下)の御養育を担当されることとなります。そこから10年に渡り、浩宮殿下とともに歩まれたそうです。


2歳になられた頃から、しつけも始まったとのこと。「殿下は特別な方だから」で済ませて、聞き分けがなくても最低限のルールが守らなくても殿下は特別な方だから構わない、それはあまりにも無責任で、かわいいからこそ叱るべきときは叱る、褒めるときは褒めるといった姿勢で臨まれたそうです。これは責任重大なんてもんじゃないですからね。とんでもないプレッシャーだったでしょう。


公私の別はとくにご教育され、4歳で幼稚園に入られた際には、自分にはどうして名前がないのと尋ねられたり、小学生の授業参観に来られた上皇后陛下とのやり取りなど、厳しくも優しいご教育だったんだなと感じますね。

上皇上皇后両陛下のお考えになっている子育ての姿勢は「人間として恥ずかしくない人になるように」であり、浜尾氏も心掛けられたようです。



宮内庁やマスコミへの苦言もあり、今上陛下と皇后陛下への愛あるご進言もあったり。まさに親代わりのお立場だったんですね。