『11文字の檻』 | えにーの読書感想文

えにーの読書感想文

読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


『11文字の檻』
青崎 有吾、創元推理文庫、2022年



「そういう〝ついでの密室〟が僕は好きですよ。密室なんてこだわり抜いて作るほどのものじゃありませんからね」


現代に蘇った水晶宮クリスタル・パレス。外壁・内壁・扉・天井・階段など、最小限の柱を除き、すべてが透明度の高いガラスでできた屋敷だった。その硝子屋敷で起こる殺人と放火。解決のため呼ばれたのは、探偵・薄気味 良悪うすきみ よしあし。(噤ヶ森つぐみがもりの硝子屋敷)


謎の更生施設に収容されている者たち。そこでは11文字のパスワードを当てることができれば出所できるという。1日一度だけ解答の機会が与えられ、正解しない限り出所することはできないが、果たして正解の11文字とは。(表題作)


JR福知山線の脱線事故を題材にした人間ドラマや不可視の怪異とも呼ばれる姉妹、禿頭の探偵が話をしただけで真相を見破る転落事件など、全8編を収録。



   



ノンジャンルの短編集。
ミステリーもあれば世にも奇妙な物語みたいなのもあり、あの忘れ難い脱線事故の話もあり、2017〜2022年にかけて発表されていた短編やショートショートなどをまとめた一冊。表題作のみ書き下ろしとのこと。

表題作は国の更生施設に収容された男たちの話。11文字のパスワードを正解できれば出所できるが、ノーヒントというムリゲー。その正解を推理していくもの。
この正解までの探り方は、映像化もできそうな感じ。与えられた道具やそれを使ったときの施設側の対応などから推理を働かせていき、正解に辿り着けるのか、というものであり、物語の上では数年にも及ぶ戦いをじっくりと見ていられます。

あとは、ところどころキャラの濃い探偵たちも登場していて、こいつらゆくゆくはレギュラーに昇格しないかなぁ。