『加賀美雅之未収録作品集』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


​『加賀美雅之未収録作品集』
加賀美雅之、光文社、2022年



「ええ、私は喜んでなりますとも。『聖なる嘘吐き』にねー」


19世紀最後の年。大学の学生寮で起こった射殺事件。密室の中で、被害者は至近距離から撃たれた銃創があり、掌には文字が刻み込まれていたのだ。さらに同時刻、教員棟でも密室の中で射殺体が発見され、その掌には同じく図形のようなものが刻まれていたのだ。この2つの事件の真相とは。(『我が友アンリ』)


『首吊り判事』の異名をもつ元・判事の老人の若き妻が、礼拝堂で呪いのかけられた短剣に喉を貫かれて死んだ。その礼拝堂にはほかに3人がいたのだが、彼女は突然1.2メートルも吹き飛び、刺し殺されていたというのだ。そして、その『首吊り判事』も目張りのされた密室で同じ短剣によって喉を貫かれていた。この謎を聞かされたベルトランの推理とは。(『『首吊り判事』邸の奇妙な犯罪ーシャルル・ベルトランの事件簿』)


単行本未収録だった中・短編10作を収録。




   



2013年に急逝された加賀美氏のデビュー20周年の年に本作は出版されました。これで氏のすべての中・短編が単行本に収録されたようです。


コテコテの物理トリックとオカルトな舞台背景とが絡み合い、まさに古き良きミステリーって感じで解説で二階堂黎人氏も触れていましたがカー流ですね。

こういうのは、平成後期〜令和の時代にはあまり見なくなりましたかねぇ?まぁ現代は、小難しいトリックを使う必然性が薄れてきたというか、容疑者も限定されている中で余計な物証を残すよりは通り魔的にやっちゃった方がいいだろ、みたいな意見も説得力あるし…。でもそんな事件なら、それならわざわざ小説読まなくても新聞開けばよくない?とも思うし…。

あとは好みの問題だと思いますが。