『天皇家の執事 侍従長の十年半』
渡邉 允、文藝春秋、2009年
著者の渡邉さんは平成8〜19年まで、今の上皇陛下の侍従長を務められた方。学習院初等科で同時期に在学していたそうです。
曾祖父が明治天皇にお仕えした最後の宮内大臣。お父上が昭和天皇のご学友とのことで、皇室にお仕えする家系なのですね。
そんな上皇陛下のお側にいた渡邉さんだからこそ知り得た陛下の素顔や日常も書かれています。
両陛下は少なくとも渡邉さんのいた10年半は変わらず朝6時に起床、その日の行事などの前にお二方で散歩をされているそうです。そして基本的には22時半にその日の仕事(?)が終わりになるとのこと。でもそこから両陛下は、翌日の行事のための資料を読まれたり、式典での原稿を書かれたり、お手紙の返事を書かれたりするそうです。
御所では節電のため電気はこまめに消され、冷房もほんの少ししか使われていません。原稿などの下書きの段階では裏紙をお使いになられていたようです。平成10年までは献血も行なっていたそうですね。
そして、上皇后陛下との結婚のエピソードなども。
陛下が行なう宮中祭祀や執務、認証官任命式そのほかの拝謁、海外への訪問、ハゼの研究、被災地などへのお見舞い、などなど。陛下がどれだけ国民を想い行動されていたか詳しく書かれています。詳しすぎて、ここではまとめ切れません。
お言葉についても、かなり吟味され打ち合わせなどもされているのですね。侍従長という責任の一端も分かる一冊。
これは読まずにはいられない。