『奇面館の殺人〈上・下〉』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。

『奇面館の殺人〈上・下〉』

綾辻 行人、講談社文庫、2015年



「〈もう一人の自分〉が現れると幸がもたらされる」


鹿谷 門実は自分にそっくりの容貌をもつ新人作家・日向 京助から、急病の自分に成りすまして、予定していた会合に参加してほしいと懇願される。しかも開催場所は、かの中村 青司の設計によるものらしい。

そうして会合に参加した鹿谷だったが、そこでは招待客全員が鍵のかかる仮面を被らされ、奇面館当主・影山 逸史の〈もう一人の自分〉を探すための対談をさせられるのだった。

しかし、その翌日に影山のものと思われる死体が発見された。しかも、頭部と指が切断されていた。さらに睡眠薬で眠らされた間に滞在客全員が仮面を被らされ、鍵は犯人によって隠されてしまった。

季節外れの吹雪で孤立した中、名探偵・鹿谷 門実の推理とは。そして館に伝わるとされる〈未来の仮面〉とは。

   



シリーズ第9弾。

滞在客は全員が鍵のかかる仮面を被らされ素顔が見えず、しかも犯人によって被らされ鍵をかけられてしまったという、かなり異常なシチュエーション。

なぜ首と指が持ち去られたのか、なぜ仮面が被らされたのか、などなど謎もたくさんあり、小説らしい仕掛けもあったりして、安定の一作ですね。

今回の鹿谷は久々に現在進行形の事件に巻き込まれて、名探偵らしい働きを見せてくれました。