『「官僚とマスコミ」は嘘ばかり』
高橋 洋一、PHP新書、2018年
嘉悦大学の教授にして、政策工房の代表取締役会長にして、内閣官房参与の天才・高橋先生。歴代の総理大臣からも頼りにされていたようで、現在はYouTubeチャンネルもやってますね。
そして大蔵省〜財務省の元官僚であり、公務員改革などで天下りを封じたことで、財務省の高官からは「三度殺しても殺し足りない」と言われた、なんてエピソードも有名ですよね。
その財務省には「政治家を潰す」力があるのだといいます。
予算編成権をもっているので政治家は頭が上がらない、予算の時期には分刻みで議員が陳情に来る感じだそうですよ。加えて国税調査権もあるので、政治家からしたら「いつ刺されるか分からない」となるのだそう。
さらには総理秘書官に常時送っているので、すべての情報は筒抜けなのだそうです。いやー恐ろしいですねぇ。
だから内閣人事局があるからといって忖度もないらしいです。
官僚が倒閣運動を行なう場合は「自爆テロ」という手段も考えられないことではないと高橋先生は言います。確かに、大臣たちは官僚が用意した文書に基づいて答弁をするので、そこを利用してドタバタ劇を演じさせることは理論上できそうですね。かつての「消えた年金問題」は厚労省の自爆テロが濃厚とまで言っています。
そして、マスコミは政治や行政の仕組みや実情をあまり勉強していないので、自分の作ったストーリーが正しいと思い込んでしまう。高橋先生もマスコミの取材を受ける側だからこそ、よくご存じのようです笑
高橋先生も官僚時代、上司から「明日の社説に書け」(=新聞社に社説を書かせろ)という命令をされていたそうです。管理職としては普通の仕事だそうです。各社の論説委員と濃密な人間関係を若い頃から築いておいて、ギブアンドテイクで依頼したりすると。
あとは学者を取り込んで、学者にマスコミを通して言わせるやり方もあるそう。どころか、論説委員や学者の実質的なゴーストライターとなって本を出させることもあるらしい!
新聞社の特権
①日刊新聞紙法
②再販規制
③軽減税率
④(過去の特権だが)国有地の格安での払い下げ
①が最大の問題と書かれていますが、要は株式の譲渡制限ですよね。絶対に買収されない、経営者が誰からも統制を受けないというコーポレートガバナンスが効かない状態だそうです。
さらには、新聞社がテレビ局を持っているというクロスオーナーシップのこと。テレビもガチガチの既得権ですしね。
電波オークションの必要性も解かれています。
まあ、官僚としても国を正しい方向に動かしたいという使命感をもってやってるいる人が、さすがに多いようで、相手を操作できるのはあくまで結果論だとも言っています。
信じたいところですが。