『UFO大通り』
島田 荘司、講談社文庫、2010年
「ぼくと出遭ったのは不運だと?猪神さん。そいつだけは大間違いだ。こんな風変わりな事件の理由をあなたに教えてあげられる人間は、世界中にぼくしかいない」
天井からガムテープの切れ端がいくつもぶら下がり鍵を閉め切った部屋の中で、白いシーツを巻き付けフルフェイスのヘルメットをかぶり首にはマフラーを巻き、両手にゴム手袋をはめた状態で死んでいる男が発見される。部屋の天井からはガムテープの切れ端がぶら下がっていて、死因は何らかのショックによる突発性心拍停止と判断された。
さらには、その恋人も銀色に染められた状態で死んでいるのが見つかり。
裏山にUFOが降りてきて宇宙人が住み着いたと主張する老婆に興味を持った御手洗 潔は、やがてこの怪事件に足を踏み込む。
UFOと宇宙人の戦争、そしてそれに巻き込まれたかの如き死体の謎を御手洗は解き明かせるか。
中編『傘を折る女』含む2篇を収録。
御手洗シリーズ。
全身のすべてを覆い密室の中で死んでいた男と、宇宙人の戦争を目撃したという老婆の話が絡んだ事件。行政の手続き上ムリじゃね?って思ったり、特有のプロパガンダ(?)はさておき、非常に御手洗的な事件でしたね。
『傘を折る女』は、大雨の日に、ずぶ濡れになりながら傘を車に轢かせた女の謎を、御手洗が推理の過程を披露しながら解き明かす物語です。それに留まらずもう一波乱あるという。
にしても、なんか御手洗シリーズに出てくる刑事ってみんな知能指数低いかつ暴力的に描かれてますね。たいていの場合、すぐに顔を赤くして怒鳴るって描写ですけど、刑事ってこんなもんなのかな?