『写楽・考 蓮丈那智フィールドファイルⅢ』
北森 鴻、新潮文庫、2008年ーたぶん、殺意に極めて近い嫉妬、だな。
式 直男しき すなおという謎の人物が発表した論文『仮想民俗学序説』が波紋を拡げる中、那智に殺人容疑がかけられる。しかも被害者の名前は式 直男なのだという。事件に巻き込まれた三國と由美子は那智の指示で、あの冬狐堂に会いに行くことに。やがて失踪した那智に代わり、三國が事件の真相に迫る。(表題作)
湖の底から発見された鳥居。神像を燃やしながら不気味な数え歌を歌う奇祭。異端の民族学者が挑む4つの短編を収録。
シリーズ第3弾。
今回も様々な民俗学のテーマを盛り込んだ内容になっています。前作からレギュラー入りした由美子を含め、「写楽・考」では以前〈狐〉を名乗っていた女も再登場。物語はより広がりを見せていきます。
古代における人形や神の扱い。鳥居のルーツ、なぜ鳥が居ると書くのか。そして那智の最大のピンチを三國は救えるのか。
そして表題作「写楽・考」では最後にとある仮説が示されます。タイトル通りではあるんですけど、この件はいろんな作家さんがいろんな仮説を立てているので比較してみたらおもしろいと思います。