『ノッキンオン・ロックドドア』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。

『ノッキンオン・ロックドドア』

青崎 有吾、徳間文庫、2019年



「残念ながら台詞をお返しするよ。今回は僕の事件だった」


不可能を専門に調査する探偵・御殿場 倒理ごてんば とうり、不可解専門の片無 氷雨かたなし ひさめの2人が共同経営する探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」。対照的な2人の探偵の下には今日も様々な謎が持ち込まれる。


密室殺人の現場に残された赤く塗りつぶされている風景画の謎。風呂場で発見された女性の死体から髪が50cmほど切り取られていた理由。身の危険を案じて絶対に窓際に近付かなかった男を、カーテン越しに狙撃したトリック。「10円玉が少なすぎる」という言葉に隠された真意とは。


旧知の警視庁捜査一課の穿地 決うがち きまり警部補や、探偵事務所でアルバイトをする女子高生・薬師寺 薬子らも巻き込み、不可能そして不可解な謎に、2人の探偵が挑んでいく。

そして彼らの行手には、事件をデザインする、たもとを分かった旧友の影も見えるのだった。




   



青崎氏の新シリーズ。全7篇を収録した短編集。

「不可能」つまりトリックの解明などハウダニットの推理を得意とする巻き毛の悪魔的な探偵・御殿場 倒理と、「不可解」つまり動機や理由を探るホワイダニットを得意とする無個性なスーツ姿の探偵・片無 氷雨。得意分野以外はからっきしな2人が、それぞれの得意分野を駆使して事件を解決していくお話。


事件の謎も中々に不可能かつ不可解で、解決に至るロジックもさすがです。

2人の探偵もそれぞれ個性が立っていて、なにやら過去の因縁までチラホラ出てきており、これからの展開が楽しみですね。


短編ゆえか、犯人を明かす場面はけっこうサラッとしていました。犯人の名前も勿体ぶらずに明かすし、スピード感もあり謎の質量も申し分ない作品になってると思います。