『幻惑の死と使途』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。

『幻惑の死と使途』
森 博嗣、講談社文庫、2000年





「一度でも、私の名を叫べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」


天才奇術師・有里 匠幻(しょうげん)のマジックショーを見に行った萌絵、犀川、浜中の3人。マジックの内容は手足を縛られ箱に閉じ込められ宙吊りにされた状態からの脱出というものだった。

演出通り箱が爆破され、予定通り再び舞台の上に姿を見せた匠幻だったが、その胸にはナイフが突き立てられていた。
1000人の観客とテレビカメラが見守る中で起こった殺人事件。犯行の瞬間には誰一人、被害者に近づく者はいなかった。

さらには彼の葬儀の場で、参列者の最後の別れが終わり出棺のために乗せられた霊柩車の柩の中から、彼の遺体が消えてしまう。これは匠幻最期の脱出マジックなのか。

幾重にも張り巡らされた幻惑に、萌絵と犀川が挑む。





シリーズ第6弾。

マジックショーの最中に起こった殺人事件。1000人もの視線に晒されているいわば視線の密室での事件。そこからさらに
という密室からの消失。そして事件はまだ続いてしまう中、相変わらず腰の重い犀川先生と謎の解明に向かっていく萌絵。

物語の冒頭で萌絵の親友が登場しますが、この有里 匠幻の事件の裏で起きていたもうひとつの事件に巻き込まれることとなってしまいます。
そちらは次作の話となりますので乞うご期待。

シリーズが進むにつれて様々な人間関係も生まれてきたりしますが、とくに前作でドタバタの末に婚約してしまった(!)犀川と萌絵。2人の今後にも注目です。