『システィーナ・スカル ミケランジェロ 聖堂の幻』
柄刀 一、実業之日本社、2013年
絵画修復士の御倉 瞬介はイタリア・システィーナ礼拝堂の正面祭壇の後ろに聳えるミケランジェロの大壁画『最後の晩餐』の修復作業の一員に加わることとなった。
しかし、その作業を見に来ていた恋人・シモーナの大叔母が突然倒れ、そのまま息を引き取ってしまう。
彼女の手には頚椎の骨が握られていて、瞬介はシモーナから、かつて大叔父が首を切られて殺されていたことを語られる。さらには500年前の祖先も独房の中で首を切断されて殺害されていたことがあったのだという。
大叔母の死の真相は『最後の審判』の中に隠されていた。天才・ミケランジェロが壁画に込めた真実とは。
表題作『システィーナ・スカル』を含む全4編を収録した美術ミステリー。
ミケランジェロ作『最後の審判』に秘められた謎。この辺り柄刀氏らしくて、引き込まれる感じでした。これ一本で長編とかやっていただいてもよかったかなと思うくらい。
ほか3編も安定の柄刀ミステリーで、毎週金曜日に現れる亡霊、地震で地下に閉じ込められていた人物にかけられた殺人容疑、瞬介の友人の画家の謎の自殺など、芸術の厳しさ難しさも描かれています。