『蟬かえる』 | えにーの読書感想文

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読んだ本の説明や感想なんかを書いていきます。主にミステリーや歴史・皇室関係についてが多いと思います。
未読の本の内容を確認する際にも参考になれば幸いです。


『蟬かえる』
櫻田 智也、創元推理文庫、2023年​



「俺はなにも理解していないよ。だから、自分のことを理解してもらうことを相手に強要したりもしない」


16年前、大地震後のボランティアでその村を訪れていた青年が目撃したという行方不明になっていた少女の幽霊。神社の中に入って姿を消して、後日亡骸が発見されていたのだという。その状況を聞いた全国を旅する昆虫好きの青年・魞沢 泉が語る真相とは。(表題作)


交通事故に遭った少女と直前まで話をしていたことで警察に事情を聞かれた青年・魞沢 泉。そこには子が母を食べる習性を持つコマチグモに重ね合わされた、少女の想いが隠されていて。(『コマチグモ』)


転落死した外国人が握っていた甲虫のデザインのペンダント。空港での荷物検査でスーツケースに入っていたハエのサナギ。心優しき青年・魞沢 泉が語る、意外な真実とは。



   

 

第74回日本推理作家協会賞と第21回本格ミステリ大賞を受賞した連作集。全5編を収録した魞沢 泉シリーズの第2弾。


昆虫が主題になっていて、人々の想いとか願いとかが重なり合って、物静かで悲しげな物語が綴れています。
劇的な殺人事件てわけでもなく、バラード曲のように心にくる話たちですねぇ。なんか不思議な感覚。