羽田に向けて降下する旅客機の音。
旋回中の回転数が上がる音。
数え切れないくらい乗った。
旋回すると太陽の向きが変わって機内を陽射しが薙いで行く。
眼下に箱庭の東京。
これから運転して帰るのめんどくさいな。地下のマックでビッグマック買ってから駐車場行こう。もぐもぐしながら山手トンネル今日も全開〜
あんな仕事はもうないだろう。
決していい時代じゃなかった。忙しいだけで大してお金にならないし。
空を見上げて思う。
もう乗ることはないのかもな。
どうでもいいような些細な記憶。
ずっと昔の、
小学校に上がる前のお出掛け用の藤のバスケット、初めて付き合った女の子の肩のほくろ、木の床の油臭い茶色い客車で旅したこと・・とか。
今まで一度も思い出したことが無いのに「ぽん。」「ぽん。」取り留めもなく頭に浮かぶ。
これってさ、
走馬灯用動画選択中?
しかも俺『サヴァン』の気があるから尚更。
いやいんだよ全然。そういう歳とは言わないけど、そうなっても不思議じゃない歳、ではある。
いずれにしてもそう遠くないだろな。
いやいんだよ全然。
じゃあさ、
やっぱり、
自分の時間ありき。
働くことに時間取られたくない。
働かないわけには行かないからさ、
近所がいいな。
安くていいよ。お金そんなに要らないからチャリで「しゃーっ」と行けちゃう距離とか。
え。
でも、
お金あったら『Z-1』買えるよ。
懐かしい。
懐かしい景色。
まだそんなに経ってないのに。
『蒼氓』が聞こえてくる。