第二種走馬灯 | Chapter 2,682〜

Chapter 2,682〜

非表示にしたものも含めると2,800話くらい?
これ8章。

部屋の隅にコロコロを掛けてホコリを取ってルンバのステーションを移動してビーズクッションどかして、

 

ふと思い付いて、


リビングの真ん中に布団を敷いて寝てたのを隅っこにしてみた。

隣の部屋で娘が明け方まで起きててうるさいのと、今はマイコの咳が気になるのと。

これ反対側の壁際で寝ればまだマシなんじゃない?それでダメならずっと前に買って使ってない耳栓あるし(嫌味だし、万一の時を考えるとしたくないけど)

 

 

 

・子供の頃住んでた辺りにアパートが密集した一角があって、そこは今もそのまま残ってる。古いアパートの二階の端の部屋を仕事部屋兼隠れ家として借りた。隣町に抜ける坂道沿いに建っていて同じような建物ばかりでちょっと迷う。

あれ。あれ。あれどこだっけ?

こんな玄関扉じゃなかった。集合ポストなんか付いてなかった。一階の突き当たりに小料理屋なんかなかった。ミラーボール回しながらエレキを弾いてる住人なんか居なかった(大学生かな?音ダダ聞こえだけどギター弾いていいんだ。俺も弾いちゃおっかな)アパートが途切れるまで坂を下って見つからないから坂を戻る。

あれ?あれれ?なんかちょっと焦って来る。

だってさ、玄関が共用の狭くて急な木の階段を昇って曇りガラスからふんわり外光が入った廊下の左突き当たり、建てた当時は白かったんだろう大正ロマンっぽいガラスがはまったクリーム色の木の扉の部屋。

見つからない。一軒一軒覗いて見るけどどれも違う。探す足がだんだん重く、だるくなって来た。

アパートが見つけられない。

え。俺ボケた?痴呆?健忘?

え。ここにそのアパートあるよね?俺部屋借りてるよね?

ちょっと待て。

家賃払ってない。

引き落としされてない。

え。いつから?忘れてた?ずっと滞納してんの?!督促来てた?電話は?え。それだめじゃんまずいじゃん!何ヶ月払ってないんだろう?まとめて払うお金ある?

この無職な時になんてこったよ。

・・・・・頭が半分覚醒する。

アパートなんか借りてないよね?この家だけだよね。滞納してないよね。そもそもあの辺り、マンション建っちゃったよね。これ夢だよね?

 

 

・晴れた午後、リビングの窓辺に立ってバス通りを何となく眺める。ドラッグストアの方から親父とお袋が並んで歩いて来る。親父の身振り手振りから「kenの家はこの辺だ」とお袋に言ってるようだ。

ゾッとした。

門扉、鍵掛かってるよね。今更確認には行けない見つかる。お勝手口から入って来ないよね、おととい片付けて掃除して通りやすくしちゃったよ。静かにリビングの窓閉めて鍵掛けてカーテンも閉じよう。居留守居留守居留守。

・・・・・ぼんやり目が覚めて、お袋?!え。とっくに死んでるじゃんもう何年だよ?

あー良かった。ドキドキした。俺はほんとに親不孝者だな。

 

 

・お昼を一緒に食べようと両手でトレーを持って行ったら、先に座っていた彼女が白衣の医療従事者の男の人と話してる(誰だあいつ?)

彼女の背中と横顔しか見えないけれど正面に座った男の人とがっつり話し込んでる。

俺あそこに座るの嫌だな。

仕事の話かな。

ちょっと離れたところに座ろう。手前のテーブルで一人で食べよう。でもこれって嫌味かな。感じ悪く思われるかな?そんなつもりはないんだけどさ、あそこに入って行くのも感じ悪いじゃない?

そっか背中向けて座ればいいのか。それでLINEで伝えればいいか。

え。でもなんて言うの?どう書いても『ないがしろにされてやきもち』にならないか?

うーんん・・・

あ。でも実際そうなんじゃない?理解のある彼氏のフリをしたいだけで。

 

 

 

目が覚めたら頭がズキズキ痛い。

2m寝場所をずらしただけなのに。