山。
また山。
そんで山。
日本の屋根に囲まれて、
そもそも昔の人は何でここに住んだんだろう?
小さな平野に密集してる街。
滔々と流れる用水路、小さな水門、街道沿いの埃を被った街並み、宿場の名残、破れたままの障子、強い陽光をキラキラと跳ね返す小学校のプール、オーバーパスの下の単線、待つ人の居ない小さな駅・・
何か懐かしい、とても懐かしい。
こういう街で生まれて一生を過ごす人生もあるんだろうな。
地元で働いて同級生と結婚して、家を建てて、土地安そうだもんな。幸せなんだろうな普通に。
俺も生まれ変わる事がもしあるなら、こういう街で毎日高い山に囲まれて、家族を作って、
ぜってーに、
やだ。
最終日。
全部終わった。
山を駆け下りて蕎麦食って名前も知らない有料道路をかっ飛んで、いつのまにやら上信道。
外気温計がじりじり上がってく。
16時前、県境を越えて都内。
制作の社長に終業連絡。
4クール全て終わりました。細かなことは多々ありますが概ね順調だったかと。
「お疲れ様でした。ありがとうございます」
「で、kenさんもう1本あるんだけど」
まじか。